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国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市

間伐体験 第15回吉野の森見学バスツアー

この日曜日に、奈良をつなぐ家づくりの会主催の第15回吉野の森見学バスツアーが開催されました。

途中で休憩をしました川上村の道の駅の対岸で、ヘリによる出材をしていました。日曜日でしたが、山中の伐採地から最寄りの集積場まで次から次へと木が運ばれていました。
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今回は初の間伐体験で、山守をされている民辻さんのご協力とご指導のもと約50年生の桧の間伐を体験させて頂きました。
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吉野は皆伐ではなく間伐で木を伐る長伐期の林業地ですが、山を維持し、次に残す木を選ぶために間伐する木の選定方法を教えて頂きました。
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数日前に1本だけ間伐されたところを見上げると陽の入る穴があいていました。1本の木を間伐するだけで、これだけ陽が入ることに驚きました。
前回間伐をしたのが15年ほど前とのことで、全体に間伐をすると陽がたっぷり入るので木の成長が促され、間伐から数年の間に幹が一回り大きくなるそうです。その時には木の年輪幅が太くなるそうで、あまり顕著に大きくなりすぎないように気を付けておられるとのことでした。
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文化財の調査などで、木の年輪を見ると年代を特定することができると聞きますが、山守さんも、江戸時代の大飢饉の頃等の顕著な悪気象の時期は年輪を見てお分かりになるそうです。(冷夏や干ばつなど気象条件が悪い時期は、年輪の幅(木の成長幅)が極端に少ない。)




今回の間伐で伐採される木にはピンクのテープで印されています。
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民辻さんチームによるお手本の伐採が始まります。
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木にロープをかけ、斜面の上からロープの先をたるませては投げ上げていきます。なによりチームワークが大切とのことです。
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いよいよ、木の山側にチェーンソーの刃が当たります。ロープで引く方向もしっかりと確認されていました。
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下側は少し高い位置に刃を入れられます。
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切り口を入れ終わり、最後はロープを引いて木を倒します。
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見事に伐られました!思わず拍手が起こりました。



小学生の子どもたちにより1本の桧を伐採することに。民辻チームのみなさんと息を合わせて無事に伐採をされました。
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小川を渡り搬出します。
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お昼ご飯は握り飯のお弁当を河原でいただきました。(美味しかったです。)

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そのあと、伐採されたての230年生の杉の木を見に行きました。大きな断面で、まだ水が抜け切れていないので断面は湿っています。
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丸太切り体験と刻印押しもさせていただきました。刻印は「民辻さんが手入れしてきた木である証」で、良い木である証明とも言える大切な印です。子どもたちも一生懸命手のこで木を切って、刻印を押していました。
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民辻さんが手入れをされた木の刻印は「よ」マークです。
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山守修行を終えた小学生たちに「山守のたまご認定証」の証書を民辻さんが授与されました。(民辻さん、素敵なサプライズを有難うございました。)
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選定から伐採から搬出まで、実際に山守さんのお仕事の一部を体験させて頂き、今まで以上に木に親しみを持つことができました。

民辻様が代々山守として大切に木を育ててこられた林業地に入れていただいたことを、心より感謝申し上げます。



そのあと280年生の森へ。
吉野林業の特徴である「超密植、多間伐、長伐期」。撫育され続けられた大変美しい森です。先ほどの間伐体験で伐採する木の選定のポイントを教えていただきましたが、最終的に良い木を残すことの意味が分かるような森です。
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帰りに桜井の製材所の泉谷木材商店さんへ。
木の製材方法や木の使い方、適材適所について教えて頂きました。山で伐られた木が家を作る材料になるまでの大事な過程です。多くの工夫をされて、良い材を作っておられます。

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林業も製材も、自然の理にかなった知恵に支えられていることを実感します。



お越し頂きましたみなさま、民辻さんをはじめお世話になりましたみなさま、有難うございました!

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by frontdesign | 2016-07-26 00:33 | 奈良をつなぐ家づくりの会 | Trackback | Comments(0)

by yuriko iwaki