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建築士の定期講習会 ”森は木で溢れている”

昨日は建築士の定期講習があり、朝から夕方まで一日講習を受けてきました。
この定期講習は平成20年施行の改正建築士法により、”建築士事務所に所属する建築士”に対して受講が義務付けられたもので、3年に一度、受講しなければなりません。建築基準法等の建築関係法令は社会情勢の変化とともに頻繁に改正されています。確認申請を出す際に書式が変わることで関係法令の改正について知る機会がありますが、この講習で直近3年間に改正された関係法令についても学ぶことになります。
一日缶詰めの講義で最後にテストもありますので、なかなかハードな講習会です。

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講義の内容は大きく二つに分かれており、1.法令関係の科目と2.設計及び工事監理に関する科目があります。2の科目は「職業倫理と社会情勢」と「最近の新技術、最近の重要技術項目等」という章があり、職業倫理については昨今さまざまな事件が起こっているからか、建築士の職業倫理について細かく書かれています。法規範と法規範以外の規範(倫理、道徳など)について、社会の規範として倫理と法は同根であるということです。コンプライアンスの意味は法令順守だと思っていましたが、規範順守の意だということを知りました。

後半の「最近の新技術、最近の重要技術項目等」の章には

・住宅・建築物の省エネ性能向上
・地盤調査と杭基礎の設計
・木造建築
・建築物の維持改修

の4項目があり、木造建築の章には日本の森林の役割に触れる記述もありました。

”木造建築物が注目されている背景には、大きく二つの理由がある。第1は「地球温暖化防止に対する役割」であり、第2は「日本の森林の保全」である。第2の点については、木造以外の分野の人には、知らない人も多いので簡潔にまとめておく。”
とあり、以下の「森は木で溢れている」という文章に続きます。

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最後は、”木材を活用し、森林を保全して行かなければならない。”という強い文章で締めくくられています。
木材の活用方法は新技術も含めて様々ですが、木を使うべく根源的理由が建築士の定期講習テキストに掲載されていることに大変驚きました。国の政策において喫緊の課題であることが伺えます。


前回受講した3年前(26年度版)の講習会テキストの同章「最近の新技術、最近の重要技術項目等」には

・バリアフリー・ユニバーサルデザイン
・省エネ技術、耐震技術
・建築物の維持修繕等の技術
・アスベスト対策
・シックハウス対策
・建設のリサイクル 

の6項目について解説されていました。木材利用の掲載は今年度版が初めての掲載のようです。







”木の住まいの設計”
一級建築士事務所 FRONTdesign  岩城由里子
国産材・県産材を使って木の家づくりをしている設計事務所です。
yiwaki@kcn.ne.jp
奈良県生駒市北田原町1052-2







by frontdesign | 2017-08-24 22:27 | その他 | Trackback | Comments(0)

インターンシップ

今年もインターンシップの学生さんが就業体験に来られています。
今日はさっそく模型作りをしてもらいました。明るく快活な女生徒さんで、一生懸命作業をしてくれました。
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子どもの頃に大きな木を見て木を伐ってみたいと思ったそうで、木が好きで木に触ることのできる木造建築の仕事をしたいと思い朱雀高校建築学科€€を志望されたと話をしてくれました。
建築物からの興味ではなく木が好きで木に触りたいから木造建築の仕事をしたいという動機は、とても興味深く思いました。それ以外の道は考えていないとのことで、頼もしい限りです。
将来は、木の気持ちに沿い木を活かした設計をしてくれることと思います。

明日は現場周りに同行してもらい、現場で木に触ってもらいましょう。





”木の住まいの設計”
一級建築士事務所 FRONTdesign  岩城由里子
国産材・県産材を使って木の家づくりをしている設計事務所です。
yiwaki@kcn.ne.jp
奈良県生駒市北田原町1052-2







by frontdesign | 2017-07-31 20:09 | その他 | Trackback | Comments(0)

”歪みを愛でる”

川尻潤さんの「歪を愛でる」を読みました。
最初から最後の”あとがき”までとても面白くて、大好きな本の1冊になりました。
陶芸の事や日本美術の事など歴史的経緯や他国との比較も含め、分かり易く書かれてありました。自然に倣い、不完全で欠点のあるものを「完全なもの」よりも美しいとした日本人独自の感性は、建築においても通じる部分があるように思いました。妖しさや快楽に裏打ちされた日本の「稀有な美」の魅力を思い直してみたいと思います。

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穴窯での焼成の話もたくさん書かれてありました。
島根に行ったときに、温泉津(ゆのつ)の登り窯(穴窯の発展形)を見に行きました。
ここは石州瓦の屋根の重なりが独特で、建築的にも見ごたえがあります。最盛期には10数基の登り窯がこの界隈にあったそうで、煙がモクモクと出る登り窯が立ち並ぶ当時の風景写真は圧巻でした。島根出身の河井寛次郎もこの地の窯元の釉薬づくりに関わられたそうです。
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登り窯は横からも薪をくべることができるので、全体の温度が安定します。
薪の樹種によっても自然釉の色が違うそうです。また、同じ釉薬でも酸化焼成と還元焼成とで発色が全く異なるそうで、窯出しの時に、あ!と思われる事もあるそうです。

酸化焼成と還元焼成の違いについて書かれてあるサイトを見つけました。
→ 瀬戸市ホームページ 酸化と還元
■焼き物の焼成 
  1)酸化焼成と還元焼成

酸化還元というと苦手な化学の授業を思い出しますが、サイト内の写真の通り全く違う色に仕上がりますので驚きます。
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土の事もたくさん書かれていて、信楽の土は「土味」があり、成形がしやすく、乾燥のクラックも入りにくく焼成の変形も少ないなど、とても良いという事も知りました。焼き物の産地はたくさんありますが地域によって土の特性は随分違うようです。
最近は、信楽焼の特徴の緋色の土も少なくなってきたそうで、白い土が多くなっているそうです。何年か前に信楽で轆轤(電動)体験をしましたが、その時も緋色土ではありませんでした。
轆轤はとても難しくて四苦八苦しながら二つ作りました。裏の高台はお店の人に作ってもらいました。
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ぽってりと厚みがありますが時々使っています。今日はブロッコリーを盛りました。

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また信楽へ行ってやきもの体験をしてみたいです。この本を読んで手練りでも作ってみたくなりました。









by frontdesign | 2017-01-15 22:50 | その他 | Trackback | Comments(0)

大晦日

日が経つのは早いもので、今年もあと数時間になりました。
今年の仕事を振り返りますと「萩の台の家2」「としくんのおうち」「法華寺町の家(リフォーム)」「学園前の家(リフォーム)」等が完成し、無事にお引き渡しをさせていただきました。

現在工事中の「吉野の山守さんとつながる家」の現場も順調に進んでおり、完成が待ち遠しいです。来年は現在計画中の新築住宅の他、設計を終えた古民家の改修、音楽教室の工事が始まります。どの仕事にも設計の想いがありとても楽しみです。

ひとつひとつ丁寧に設計させていただき、作り手の職人さんと共に良いものづくりをしていきたい所存です。至らぬ点もございますが、来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。


今年も健康に過ごせたことに感謝し、来る年を迎えたいと思います。
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としくんのおうち(2016)










by frontdesign | 2016-12-31 17:07 | その他 | Trackback | Comments(0)

手動式地盤調査

民家の改修計画で柱の沈下の原因を調べるために地盤調査をすることになりました。
建物内の調査も必要になりますので、床をめくってスウェーデン式サウンディング試験(手動)をしていただきました。
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先端にスクリューのついたロッドに25㎏の重りを足しながら合計100㎏の荷重をかけます。地盤が緩いところは自沈しますが、自沈しないところではハンドルを回転させて25センチ貫入するのに何回転するかで地盤の固さを判断します。また、ロッドを回転させる時の音や感触から土質を判断されます。
手動調査の立会いは初めてですが、自沈の際の沈むスピードやハンドルを回転させる時の回す固さの様子を拝見していると、地中の状況がよくわかるように思いました。
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by frontdesign | 2016-12-24 07:51 | その他 | Trackback | Comments(0)

蝙蝠と翁

改修計画の図面を描くときは現場で撮った写真が頼りになるので、たくさん写真を撮ります。図面を描きながら写真を見ていると、手が止まってしまいます。
計画中の民家の外壁隅の漆喰塗りに蝙蝠文様が入っています。蝙蝠は縁起物の吉祥文様です。
屋根は鳥衾が際立っており、遠くから見ても格好の良いものです。鬼瓦は様々な意匠のものが使われており、棟の鬼瓦は七福神の大黒さまで、降(くだ)りの棟は鍾馗さんが居られます。鍾馗さんの顔もおだやかなものです。
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下屋の降り棟瓦には翁面の鬼瓦がありました。両側から垂れているのは面の紐。とても風流な意匠です。ほかにも様々な鬼瓦がのっていますが、どの鬼瓦もいかめしい鬼面ではなく穏やかな表情のものです。
そのような意匠からも、普請されたご当主と棟梁の思いが感じられます。

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今回工事で屋根も葺き替えますが、鬼瓦は状態を見てから焼き直して再び屋根に乗せる予定です。







by frontdesign | 2016-12-03 09:25 | その他 | Trackback | Comments(0)

木の廃材利用 木のベンチ

傘立てに引きつづき、木の廃材で作ったベンチについて。

これは杉の幅広の厚板を組み合わせて作りました。板類も定尺の長さなので、このぐらいの長さの残材が出ることもあります。
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7~8年前に作ったものですが、これを作る時に何がしたかったのかというと鼻栓の細工を一度自分で作ってみたかったのです。
貫を脚板に差し、かかりに少し大きめの穴をあけて栓を差してたたくと脚板と貫がどんどん締まり固定される仕組みです。
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「栓を抜くと板に戻る」ということが目で見てわかる単純な形で、日本的な思考のように思います。(このベンチは座板と脚板を固定するのに木工ボンドを使っているので、残念ながら元の板には戻りません。)

用が済んだら素材の元の形に戻るのは風呂敷や着物が特徴的で、木造建築も昔は移築や再利用が当たり前だったそうです。祖母が住んでいた住宅も昭和の初めごろに丸太町から移築したものだと聞きました。家は不動産ではなく動産のような感覚ですね。

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材料を見て木取りをしますが、加工の途中で「あぁしまった!」と思うことがあります。
節は固いので加工がしにくい場所ですが、ノミで加工をするところにうっかり節が来てしまいました。
木取りをする時はそういうことにも気を配らなければならないことを、この時初めて知りました。
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by frontdesign | 2016-11-15 14:08 | その他 | Trackback | Comments(0)

木の廃材利用 傘立て


木の家づくりをしている工務店さんは、結構たくさんの廃材が出ます。
伏見建築事務所さんのところで出る廃材を使って何か作れないかとのことで
考えてみました。
幅は揃っていて高さの違う木を組み合わせた傘立て(傘立てカバー)です。
若手大工の三宅君に作ってもらいました。
中には缶の傘立てが入っていますが、こうすると木の家によく似合うものになりました。(カバーなので底面はありません。)
内側にアクリルやワーロンを張ると照明カバーにもよさそうです。材は吉野杉です。

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ちなみに、もし販売するとしたらこれぐらいのサイズで送料別で2000円だそうです。
(伏見建築事務所 談)
無塗装品なので外部で使うときはオイルや保護材を塗られるとよいと思います。


廃材利用のデザインはスケッチアップで考えました。縦にしたり横にしたり。
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たくさん作って重ねると本箱になるかと思いましたが、隙間があくので本のすべりが悪そうですね。
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廃材利用で作った木のポストのブログの記事が今もよく読んでいただいており、
廃材利用で何か作る機会があればアップしようと思います。






by frontdesign | 2016-11-14 18:48 | その他 | Trackback | Comments(0)

打ち合わせの日

今日は午前と午後、二つ打ち合わせがありました。
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午前中の打ち合わせは、これから着工する住宅の打ち合わせでした。工事金額の見積もり調整も終わり、来週は工事契約と地鎮祭です。
吉野材をふんだんに使い、外とのつながりと解放感のある住まいです。吉野の山に直接的に関係のあるお住まいで、何かそのようなことも表現できるようにと思って設計させていただきました。いよいよ着工と思うととても楽しみです。
ブログでも進捗状況をご報告できればと思います。
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午後は、家を建てる土地から探されていらっしゃるお施主さんとの打ち合わせでした。
いろいろと話をお聞かせくださり、前回の打ち合わせの時よりも家づくりのイメージが深まりました。設計に着手する前にお話する機会が多いととても設計の参考になりますので、土地探しの合間に時々お話をお聞きできると幸いです。


この仕事をしているといろいろな方と出会うことができ、いろいろな話をお聞きする中で多くのことを学ばせていただいています。
大変有り難く思います。




by frontdesign | 2016-09-10 20:16 | その他 | Trackback | Comments(0)

インターンシップ

今年の夏もインターンシップの学生さん(朱雀高校建築科)二人が就業体験に来られました。
1日目は吉野の山と桜井の製材所、建築中の現場を巡り、2日目3日目は実施設計中の住宅の模型を作ってもらいました。学校でも模型作りをしたことがあるとのことで、要領よく作ってくれました。
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屋根を取ると2階の間取りが見え、2階も外すと1階も見ることができます。
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内部は、薪ストーブ、煙突、キッチン、作り付けのカウンターー、食器棚、それから冷蔵庫、テレビボードとテレビも作ってくれました。
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1日目の様子。
伏見建築事務所にインターンで来られている男子学生さんと、朱雀高校の先生と、少し先輩大工の三宅君と一緒に吉野の林業地と桜井の製材所、建築中の工事現場へ行きました。

吉野の林業地では伏見さんが山の事や、木の見方などを説明してくれました。
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泉谷木材商店さんにて。製材の様子を拝見し、出来上がった板材を見せていただきました。
木表と木裏、手で触ってみるとよくわかりますよね。
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吉田製材さんにて。
木の乾燥のことやバイオマスの説明をしてくださいました。中温乾燥中の乾燥機の中身と50度の温度計も見せてもらいました。
山で撫育された木が製材されて家を作る材料になる過程がよくわかったと思います。
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暑い中、3日間おつかれさまでした。

仕事に就かれたら、同じ業界仲間としてどこかでお会いするかもしれないですね。


泉谷さん、吉田さん、伏見さん、お世話になり有難うございました。



by frontdesign | 2016-07-30 00:05 | その他 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 奈良県生駒市


by yuriko iwaki