カテゴリ:和室と日本建築 ( 14 )

和風金物

古い建物には様々な和風金物が使われており、現在改修中の古民家でも多くの和風金物を見ることが出来ます。
襖の引手も何種類かの引手が使われています。

玉子の座に木瓜。この引手が多く使われています。
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立角の座に舟形の底。底には地模様があります。
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座敷の4枚建ての襖には一連の襖絵が描かれており、引手も趣のあるものが使われています。
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底の部分には紅葉に波(流水)文様が入っています。紅葉は流水とセットで文様になることが多く、そのような文様を竜田川と呼ぶそうです。座は透かしで唐草文様のような植物柄です。
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南画のような墨彩画です。霧のかかった遠景と、近景の人物の描写や樹木や岩の力強い描写に魅せられます。
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長押の釘隠しも様々な意匠のものが使われています。
座敷周りに使われているのは宝袋。
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鶴。
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中の間から下は六葉。
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引手の他にもたくさんの金物が使われていますが、縁側の手水鉢の軒下の吊灯篭もそのひとつです。
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今の住宅建築では和風金物を使うことは非常に少ないですが、日本の金工技術を見ることができて目の保養になります。



by frontdesign | 2017-02-16 18:11 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

座布団 と 山口昌伴さんの本

本棚の整理をして山口昌伴さんの本をまた読もうと思って数冊出してきました。
もう25年ほど前の話になりますが、メーカーでキッチンの商品企画の仕事をしていた時に、GKデザイン(道具学研究所)の3日間セミナーに会社から参加させてもらったことが有り、その時に山口昌伴さんのことを知りました。台所考と道具にまつわる文化(世界と日本の各地)の話は大変面白く、メーカーのようなところにいながらも、キッチン(道具のようなもの)をつくるにあたり、その国の文化や習慣を発想の基本に持つべきだという事を思い知った次第です。
建築の仕事を始めてからも、山口さんの本を読んだり雑誌でコラムを拝見したりと、何かとヒントを頂きました。また、大工さんや左官さんなど職人さんの道具と人との関係や、技能を支える道具を作り続けている道具屋さんにも視点を向けたいと思うようになりました。

さて、「和風探索」という本には
座布団 火鉢 炬燵 踏み台 卓袱台 畳 鯉幟 鏡台 針箱 障子 襖 蚊帳 簾 縁台 風呂敷 柳行李 箪笥 あかり 電灯笠 便器 瓦 垣根 箒 注連縄
これらの日本独特の道具やものについてコラムが書かれています。どれもこれも懐かしいと感じるような物ばかりですが、今も日々使われているものもあります。

今の事務所は杉の厚板の床の上に座って仕事をしており、座布団を愛用しています。
座布団については、用途、サイズ、素材、つくり方から、見るべきところまでいろいろあります。事務所で自分の座布団を確認。
あまり注意してみていなかったのですが、隅の”ふさ”はこのようなおさまりでした。真ん中の”とじ”は貫通して十字に入っていて、真ん中で束ねてありました。昔から変わらず懐かしく思いました。子どもの頃はこういう細かいところをよく見ていたように思います。引っ張ったりしながら。
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座布団は長方形で前後方向が長手で左右方向が短手。一枚の布を折って綿をクルッとくるんでいるので、三方は縫われていて一方は縫い目がありません。縫い目のないところが前。上の写真の左のほうが前です。
表裏もありますが、柄が同じ場合は縫い目の返しで見るそうです。洋裁と似ていますね。

この座布団の柄は"正倉院”と言うそうで、座布団ではポピュラーな柄だそうです。(知りませんでした。)
縫いは手縫いではなくミシンでした。綿はどんな綿が入っているか開けて見たくなりました。
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事務所で床に座って仕事をし始めた時は、キリムのクッションを敷いていましたが、やはり大判の座布団の方が楽で用に合い、それ以来座布団を敷いています。
改めて考えてみると、今までの人生の中で一番座布団が身近な存在になっています。本に書かれている"座布団の用の百態"も実感しております。



さて、これは衝撃的な本の題名。
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日本人の住まい方を愛しなさい

2002年に出版された本ですが、いま、ひとつのテーマになっているようなことです。

本の内容とは少し逸れますが、2020年に義務化予定の省エネ基準適合住宅について、いろいろなところで論議がなされています。
義務化については建築のハード面や建築文化的にも問題を含んでいますが(内外真壁の建物に限って地域型住宅として適応除外になるそうですが)、基本的な日本人の住まい方についても深く検討されるべきではないかと感じています。
省エネルギーの気候区分が同じところでも、牧歌的な地域と都市の狭小密集地では、おおよそ住まい方も変わることでしょうし、今回の法制化の基準が家の窓を開けないことを基準にしていること自体が、都市部の理論を日本全国に当てはめているように思えてなりません。
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今回の法制化が実施されると、このような風景も、50年後100年後には大きく変わってしまうかもしれません。なぜなら、施工方法の一律化がさらに促進され、左官などの職人の仕事が今以上に減り、街場での技能の継承が途絶えるからです。

住まい方はひとそれぞれ。
昔ながらの日本の家の建て方の工夫と知恵、そして日本ならでは住まい方を活かすことも、省エネにつながると思います。

そもそも義務化にも疑問がありますが、窓も開けて自然エネルギーを利用することを元にした設計手法を基本とし、地域の区分についても省エネ区分ではなく、冬期の日射量と気温で区分するパッシブ地域区分を採用する方が、まだ現実の気候風土に即していると思います。


山口昌伴さんのお話をまた何かの機会にお聞きしたいと思っておりましたが、2013年にご逝去されたとのことで、とても残念です。
これからもご著書から多くを学ばせていただきたく思います。


by frontdesign | 2016-02-09 00:05 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

椅子座か床座か。 大正時代の生活改善同盟会

居間は椅子座か床座か。
住文化の変遷の中で今や和室の無い家も増えています。以前、女性建築士の会で今の暮らし方について座談会をした時に、部屋の様式(和室か洋室)に関わらず居間では床に座って過ごしているという方が半数以上おられました。冬はコタツを出すし、ソファーは背もたれとして使われているね、と言う話もお聞きしました。
戦後のアメリカンドリームと住宅事情により、日本の生活に一気に洋風文化が拡がったわけですが、玄関で靴を脱ぐことは変わりませんでした。
この洋風化の元はそれよりさらに前、今から95年前の大正11年に生活改善同盟会(文部省)が発表した「住宅改善の方針」にあるように思います。
その主な内容は
住宅を椅子式に改めること
間取りを家族本位に改めること
構造と設備の虚飾排除
です。
翌年に示された詳細の指針によると、玄関に関しては
実用性を重んじること、出入口は従来の引戸格子戸を排して堅牢な開き戸とすること、雑多な履物を整理する為の履物入戸棚設備の設置、脱ぎ履きに便利な段か腰掛けを設けること等が挙げられています。
日本の玄関に定番の靴箱は、この頃から定着しはじめたようですね。
なお、椅子式生活を主眼としながらも室内は室内ばきに履き替えることとし、西洋のように室内での靴履きより清潔で優れているとしています。
主に都市部における人口増加に伴う住宅建築にあわせて示されたもののように思いますし、基本的には家族主体の住居、伝統・格式からの脱却、父権主義的「家」の否定であるように感じますが、それに関連付けられて排除方向とされているような部分も感じます。地方では地域の気候風土、またはその地の生業との関係性が保たれた住宅の在り方がその後も続きました。

100年近く前に国の推進事業として、このような具体的な住文化の指針を出してきたことに若干の違和感を感じますが、玄関で靴を脱ぐことや根強く床座の暮らし方が続いていることなど、変わらない日本人の暮らし方はあるように思います。
いま住宅の設計をする中でも、日本的暮らしに沿う空間寸法(空間の重心位置等)や、手足に触れる素材を大切にしたいと思っています。


昨日東京で開催されましたシンポジウムで、パネラーの一人として参加された建築学科の大学三回生が「日本民家の開放的な間取りに将来的なものを感じる」と話をされていたのは印象的で、多様化と肥大化の行く先の何かを感じました。面白いですね。

写真は、奈良県宇陀市松山地区の重要伝統的建造物群保存地区の建物。
このような建物を見ると、ふと生活改善同盟会の指針を思い出すことがあります。「引戸格子戸を排して堅牢な開き戸に」、「構造の虚飾排除」と大正時代にうたわれた指針には影響されず(幸い、届かず)、その地の職人による伝統的装飾美で形成された美しい街並みが今も各地に残っています。

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椅子座か床座か。
長寿社会と床座の話はまた別の機会に。







by frontdesign | 2015-09-26 23:52 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

鵤工舎 前田世貴さん講演会 と 槍鉋

先週の日曜日、奈良朱雀高校で鵤工舎の前田世貴さんの講演会がありました。
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前田さんは朱雀高校の前身の奈良工業高校のご出身で、卒業と同時に鵤工舎に入られ現在は奈良斑鳩作業所で棟梁を務めておられます。

西岡棟梁と小川棟梁のお話、前田さんが堂宮大工を志されたきっかけや修行時代のお話、初めて棟梁を任された時のことなど、たくさんの話をお聞きすることができました。
嘘のない仕事をしなければならない、良い作品をつくるより先に良い刃物を(良い刃物はうそをつかない)、伝承とは弟子に伝え教えることではなく、古の工人の魂のこもった仕事を読み取り対話すること(建物に信念を込めることで後世に伝わる)、刃物を砥ぐことと道具を扱えることの大切さ、道具は知恵の塊であり伝承であること、初めて弟子に鉋を触らせる時は一番いい鉋を触らせ本物を教える、電動工具などの便利な道具は、刃物をちゃんと扱えるようになってこそちゃんと扱える(便利な道具にばかり頼ると知恵を鈍らせる)、精神を研ぎ澄ませる、見込みのある子は他に行き場のない子、棟梁の力は束ねる能力、親方を乗り越える、そして、新築が出来ないものに改修や復元は出来ない、等々、
短時間でしたが内容の濃いお話で感動しました。
若い時に棟梁をさせて、現場を全て任せるそうです。考えて考えて、考え抜き、魂を込めて力を合わせて作り上げる。20代でお堂や棟の棟梁を任されるのはどんな気持ちでしょう。

最後に道具を使った実演をしてくださいました。

槍鉋(やりがんな)
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削りかすがクルクルと丸まります。
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生徒さんも体験。
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台鉋は二枚刃と一枚刃で桧を削ってくださいました。
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よく切れる刃物で木を削ると、木の細胞の断面が綺麗に切れるので、平滑でツヤがあり美しく、いつまでも表面がこば立つことがなく木が長持ちするそうです。その辺が電動鉋との違いです。


槍鉋は、台鉋よりもずっと古くからある道具ですが、現在の一般の普請ではあまり使われることはありません。
刃先は普通の槍鉋と、斗栱(ときょう) などを作る時に使う逆反りの刃があります。


槍鉋の仕上げについて。
平城京大極殿。(2010年復原)
この建物の木部表面加工は全て槍鉋で仕上げられており丹土が塗られています。
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この柱の表面の波を打つような感じが槍鉋の仕上げです。
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by frontdesign | 2015-08-03 18:01 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

元庵

有楽苑の続きです。

如庵は国宝の三茶室のひとつで、腰張りに暦が使われていたり、床の間横に三角の鱗板が入っている(給仕口が茶道口と兼ねているので鱗板のスペースで給仕がし易くなる)ことや、有楽窓等の特徴が有名な茶室です。

如庵と言う名前。
ジョアンは有楽斎の洗礼名で、茶室に如庵と名付けられたと言われているようです。
有楽苑には、この如庵以前に大坂天満屋敷にあった茶室を古図から復元した元庵もあります。
この元庵、当時は如庵と名付けていたそうです。

元庵。三畳台目の亭主床です。
あ。
床の土壁下地の貫部分の変色(経年変化)が、十字架に見えませんか?
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亭主床。十字架の前で茶を点てるジョアン。


中柱が竹ですね。

隣の長四畳の鞘の間より。土壁の室内に白が入ると、ハッとするほどの清浄感があります。
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(十字架がふたつ。)

元庵の天井の竿は細竹で、ピッチが随分細かく入っています。細い竿を細かく入れると、面積が小さく天井が低くても広く感じます。
鞘の間の天井の竿は角もので、杉でしょう。

大きな火灯口です。角を丸く塗り回し、奉書紙が貼ってあります。
本当に薄い華奢な壁で、大事に扱わないと壊れます。人の皮膚のようだなと思います。
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(あの壁は十字架になっていない。)


元庵でした。
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 住まいの設計 「木の家づくり」 奈良県生駒市 一級建築士事務所 FRONTdesign  



by frontdesign | 2015-05-10 20:48 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

延段 と 関守石

織田有楽斎ゆかりの茶室如庵のある犬山の有楽苑に行きました。
数奇屋建築、茶室、門、庭園など見どころがたくさん有りましたが、真行草、幾つもの延段や沓脱ぎ石など、石が面白く思いました。

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広い石敷。イイですね。
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門の敷居を跨ぐ飛石
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沓脱ぎ石
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この草の延段の先には
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大きな沓脱ぎ石。その上に関守石。
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関守石は「この先に入るのは遠慮されたし」と言う意味を表す暗号のような置き石で、石に棕櫚縄か蕨縄を十文字にかけて持ち運びできるようにしたもので、庭の飛石の途中に置いてあるのをよく見かけます。
飛石に関守石が置かれていると飛石を踏めないと感覚的に思いますが、このような大きな沓脱ぎ石のに関守石がひとつ置かれてあると、その意味が強調されているようで返って面白く思いました。

庭園の要素では樹木の存在が大きいですが、樹木は季節や年代により風景の変化があります。
石は変わらないものとして庭を構成する大事な要素であり、古い庭園の調査では飛石のひとつひとつまで測量してサイズを測ります。

自然の形であり、数奇と人為のはざまのような構成物です。
by frontdesign | 2015-05-07 20:53 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

女性委員会の和室研究会

昨夜は和室研究会に参加しました。
この和室研究会は奈良県建築士会の女性委員会の活動(勉強会)ですが、昨今の新築住宅は和室の無い家も珍しくなく、ライフスタイルの変化と共に益々和室離れは進みつつあります。と同時に、我々設計者もちゃんとした和室を設計する機会が減ってきており、和室の知識を持ち合わせてささっと伝統的和室の図面を引くことが難しいことのようになってきています。和室とそれをとりまく和の住まいの良さについて改めて見直し、伝統的な和室とともに日常的な和室を再考することを主旨として、女性委員会和室研究会がスタートしました。

昨日は11人のメンバーが集まり座談会形式で進めましたが、皆さんの住まい経歴や和室の使い方経験談、現在の暮らし方の話をお聞きしました。長く奈良に住んでいる方ばかりではないのですが、子どもの頃に古い民家で過ごされた経験をお持ちの方が意外と多く、古い住まいの体験談をお聞きできました。

井戸
五右衛門風呂
しば刈り(燃料)
かや
田の字型の和室続き間
雪見障子から日々季節の移ろいが見えるのがすごく良かった
欄間から隣の部屋の様子がつつ抜け
子どもは座敷に入れなかった
畳の掃除は掃除機だと痛むので茶殻でしていた
昔のマンションや公団はDK以外は畳の部屋だった

等々、いろいろな住居経験談をお聞きできてそれはもう面白かったです。

現在の暮らし方をお聞きしていると、数名の方は完全な椅子生活でしたが、7割の方は和室(あるいは床座)が日常空間で、当たり前に畳の上で過ごしているとのことでこれも驚きました。
「畳の上に居るのがふつう、畳は板より居心地いいよ」
という事を多くの方からお聞きすると、日常性の和室を考えるのにも希望が持てると言うか、和室を科学すると居心地の良さにつながると言うか、懐古主義ではなく温故知新の方向のように思いました。
また、高齢化と床座についても話題になりましたが、最近では日頃から床座で座ったり立ったりする動作をしていることが良いと言われてきているようで、必ずしも「老後=椅子・ベッド生活」と結び付けて床座を排除することも無かろうと思いました。

建築的には伝統的な和室は意匠の宝庫であり、家具など何も置かずに完結する美学が有ります。また、床の間に掛ける軸一つで、空間の世界観が一変するぐらいの素の空間でもあります。そのような精神性は素材によるところも大きいように思います。木や土や紙、畳など、大事に扱わないと傷のつく材料の中に身を置いていることを感じます。

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by frontdesign | 2015-02-18 19:34 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

左官サンプル

外壁に使う色モルタル掻き落とし仕上げの色を検討するために白系の色のサンプルをつくりました。

枠になる木をベニア板に取りつけ、ラス(金網)を止めます。
かなり久しぶりにmyカットソー(手のこ)を使いました。
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ここまでできたらあとは左官仕事。色の調合をします。
実際には25Kgの配合セメントに色粉を混ぜますが、1/100の分量で作るのでタニタのキッチンスケールで計ります。色粉の分量はとても微量なので計測も慎重に。
粉をよく混ぜた状態。粉だけを見ていると色の差は僅か。
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配合セメントの1.5倍ぐらいの川砂を混ぜ、水を足してよく混ぜて枠の中にコテで塗ります。粉の時はほとんど色が変わらなかったのですが、水を含むとこのくらい違います。このまましばらく乾かします。

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掻き落としの仕上げは半乾きの状態で乾山のような道具で掻き落とします。この剣山も板にくぎを打ってつくりました。
この季節は半乾きになるまで結構時間がかかりますので翌朝まで置くことにしました。
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完全に乾くまでにはとても時間がかかりますが、乾くと色が明るくなります。


数日後。これぐらい明るくなりました。最終的にはもう少し明るくなると思います。
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骨材に砂を入れる掻き落とし仕上げの表面は土のような仕上がりになります。実際に、重量比で6割強は砂なので壁に砂を塗っているような感じです。
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今日は現場に左官屋さんもおられたので一服の時にサンプルを見てもらいました。

同じ色粉を使っても季節や天候によって仕上がりの色が微妙に変わる理由をお聞きすると、季節天候、掻き落とすタイミングの壁の乾き具合が関係するとのことでした。
陽の当たる壁とそうでない壁でも乾く速度が違います。そういえば真夏の晴れた日に外壁を塗ってもらっていた時に、太陽の移動と追いかけっこで東から西へと外壁を塗っておられました。
工程は天候に影響されますね。


サンプルいろいろ。

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by frontdesign | 2015-02-11 07:30 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

天井と税金

師走の怒涛の選挙も終わりました。
税の徴収や使われ方は政治に対する関心事のひとつです。

歴史的にも家にまつわる課税の話はいろいろあります。有名なところでは間口税と言うものがあり、道に面する家の間口の長さに比例して課税された時代がありました。京都の町家に代表するような間口が狭く奥行きが長い"うなぎの寝床"の地割りは、節税の工夫として発生したもので、今も情緒ある景観として軒を連ねる街並みが多くの地域で残っています。
その他にも、玄関が広いと課税、床の間をつくると課税(庶民は床の間を作ることさえ禁止されている時期もありました)それから、壁を白くすると課税!、四角い柱を使うと一本あたりいくらと言う具合で課税!(今では考えられません)など、贅沢に繋がるようなことは課税の対象になっていました。
ちなみに、柱は丸太や面皮付きだと無税だそうで、茶室(数寄屋)は素材の形が自然のままであったり土壁同様で、お金をかけた普請でも無税だったようです。玄関もありませんしね。
また、天井を張ることも贅沢とされ、禁止されたり課税の対象になっていた時代がありました。
天井はそもそも屋根裏からの土やホコリが落ちてくるのを防ぐ役割がありますが(ホコリを防ぐのが贅沢なのか)、昔の民家を見ていると座敷以外の部分には天井が張られずに構造がそのまま見えているものが多くあります。
天井が無いからといって簡素かと言うとそうでも無く、とても立派な欅や松の梁が象徴的に掛けられており、当時は磨き込んで大事にしていたそうです。
この辺りの民家では、竈さん手前の土間に煙返しと呼ばれる梁が必要以上に大きな材で入っており、見栄の意もあったとのことです。
この大きな梁はかなり低い位置まで入っているので、改修の時に対処に悩むこともしばしば。

質素倹約が強いられ、家に対する禁止事項や課税が多くあった時代でも、大衆は税の対象にはならない範囲で贅沢をする楽しみがあったようです。
うなぎの寝床の区画割りも含め、課税対策の工夫がひとつのかたちとして発展し、伝統として受け継がれていることがたくさんありそうです。

天井もいろいろ。
角材の竿縁は課税され、竹や丸太だと非課税。
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うーん。よくわかりません。
by frontdesign | 2014-12-16 21:13 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(2)

杉の源平に柿渋 

杉の源平(赤白)の板の白太に柿渋を塗ると目立たなくなることを教えて頂き、塗ってみました。
柿渋の原料は柿で、タンニン成分による防腐防水の保護効果を生かして昔からいろいろな用途に使われてきました。原液はコーヒーのようなこげ茶色のさらっとした液体です。以前に、防水効果の為に室内で柿渋を塗ったことが有りますが、とにかく臭い!柿が腐ったような匂いがしますが(そのままです)、乾くと全く匂いがしませんので心配は要りません。
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原液を水で薄めて塗ります。塗りたてはあまり色がつかず頼りない感じがしますが、塗ってから2,3日もすると色が濃くなります。
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いい色になりますように。

杉の白太も時間が経つと焼けて赤身と同じような色になりますが、目立たなくする工夫です。


 住まいの設計 「木の家づくり」 奈良県生駒市 一級建築士事務所 FRONTdesign  
by frontdesign | 2014-11-17 18:08 | 和室と日本建築  | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 奈良県生駒市


by yuriko iwaki