カテゴリ:民家改修 天理の家( 27 )

天理の家 進捗状況6

今日はとても春らしい1日でした。
a0116442_22233987.jpg
柱のジャッキアップが順番に外されはじめ、柱が基礎に乗りました。基礎と柱の間には鉛の板を敷いていただきました。
a0116442_22233990.jpg
現場には取り替え・新設用の材木が運び込まれています。立派な桧の平角材はシロアリにやられた縁框の差し替え材です。
a0116442_22192651.jpg
色艶とも美麗な吉野桧の赤身材。これなら白蟻も来ないことでしょう。
a0116442_22192762.jpg
縁側は、座敷前のみ縁側として残して居間空間は部屋に取り込みます。
天井は2重天井で、既存天井の上部に断熱材を入れることが出来そうなので、このままの仕上げにできればと考えています。
a0116442_22203186.jpg

主屋西側の改修工事が始まっています。
この部分には大正時代に増築された水廻り(浴室、便槽)がありましたが、痛みもありましたので全解体して半間ほどの増築をすることになりました。主屋の他、蔵と南の縁廊下につながる部分ですので、大工さんに歪補正をしていただきながら施工していただいてます。
正面には開口部を設けます。奥の間に光と風を取り入れることのできるこの開口部は、有効に活用できると思います。
a0116442_22191661.jpg

これは床脇の違い棚を撤去した部分ですが、昭和の改修の時に仕上げられた砂壁の下から青漆喰の壁が出てきました。
金沢の伝統建築には群青色の漆喰壁が多く使われており「加賀の青漆喰」と言われています。高貴な色として使われていたそうです。

こちらの座敷も建築当初は青漆喰の床の間だったのかもしれません。
立派な襖絵の描かれた襖も入っておりましたので、大変華やかな座敷空間であったことが想像できます。
a0116442_22203187.jpg


ここは通り庭の大和天井ですが、この梁の間に2階に上がる階段を計画しています。
階段部分の板を撤去していただき、2階天井が見えるようになりました。
上下階とのつながりのある部分や2階の壁の位置は、既存の架構に沿って計画をしています。
a0116442_22203674.jpg

構造体の補正が終わると、耐力になる壁の設置工事が始まります。
伝統的な整形六間取りの広々とした空間ですが、限界耐力計算で耐震性を検討していただいた結果、ある程度の壁の設置で耐震性を補えることが確認でき、広い空間の良さを活かして計画をすることができました。
新設の耐震の壁は、外周まわりは土壁、室内壁は荒壁パネルを使用します。
a0116442_22185697.jpg

今回の改修はこの建物の「平成の改修」になりますが、時を経て次の時代へつなぐ改修工事であることを意識しています。



by frontdesign | 2017-03-30 23:53 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況5

主屋の工事は基礎まわりの養生期間中です。
a0116442_01355009.jpg

型枠が取れたところもまだ荷重はかけずにジャッキアップされています。
a0116442_01355034.jpg


今日は新人さんが木舞壁の一部を撤去していました。
解体をするときには古い建物のことがよくわかるので、解体時はできるだけ見に行きたいと思っておりますが、実際に作業をしている彼は多くを学んでいることと思います。
a0116442_01355071.jpg

今日はお施主さんと施工者さんと打ち合わせをしました。

北西に位置する戌亥蔵が主屋に入り込んでいる形になっており、取り合いについて検討が必要な個所が出てきました。水じまいが良い方法をとることが最優先ですが、答えを出すのは宿題になりました。
a0116442_01360939.jpg

このような建物の改修工事は解体後の建物を見ながら設計変更をする部分も出てくるもので、今回は何かと変更をさせていただいております。

この部分は土壁を落とすと差鴨居の長ほぞと鼻栓が出てきました。当然のことなのですが、これは生かさなければなりません。

a0116442_01363745.jpg


主屋の養生の間に門屋横の辰巳蔵の解体が始まっています。こちらは主屋とは違って丸太普請です。
a0116442_01370916.jpg
野趣に富み、力強さを感じる小屋組です。
a0116442_01371083.jpg

昨今の木造建築は角材を使うのが当たり前で、柱も梁もなんでも角材です。
角材は施工精度も宜しいのでそうなったわけですが、昔は丸太が普通の材料で主要な部分の普請に角材が使われていました。なぜなら、きちっとした角材を手加工で作るのには相当な労力が必要だったからです。今は丸太の方が加工に手間がかかり大工さんの技術が必要なため、珍しいものになってしまいました。

解体しておろした丸太の母屋は再利用します。下してみると通直で立派な材です。
丸太は捨てる部分が無いのが良いですね。
a0116442_01371080.jpg

鉋がかけられた角材の木組み。太い柱と成の大きな差鴨居は力強さがあり、民家の象徴的な構造です。
降雪地域になると、さらに大きな木組みを見ることができます。
a0116442_01363886.jpg



by frontdesign | 2017-03-24 02:39 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況4

構造体の補修の工事が進んでいます。

柱をジャッキアップでレベルまで揚げて、数本ずつ順番に足元に基礎を作ります。
a0116442_01130820.jpg
レベルより少し上まで柱を浮かし、配筋をしてコンクリートを打ちます。
鉄筋はカゴにしていただいており施工性もよさそうです。
a0116442_01130571.jpg
a0116442_01133846.jpg

型枠は外れましたが、養生期間を経てから荷重をかけるため柱はまだ浮いています。
柱とコンクリートの間には鉛を敷きます。
柱に掛かる荷重の大小に合わせて、基礎のサイズも3つの種類です。これは小さいもの。
a0116442_01133699.jpg


地覆が回っているところは蟻害が見られ、柱勝ちにして足固めを入れることになりました。
コンクリートの養生期間中に先行して根継ぎをしていただいていました。
a0116442_01142193.jpg

地覆の蟻害。土に近い部分は白蟻にやられてしまいます。
ここは解体して新築する部分ですのでいちからやり直しです。
a0116442_01142856.jpg

大工さんが現場に小型万能機を持ってこられました。
改修工事は現状に合わせて木づくりをされるので、現場に万能機があると便利ですね。
a0116442_01140322.jpg



by frontdesign | 2017-03-20 01:43 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況3

現場では柱の下がりを補正するために、柱を上げるジャッキアップの作業が進んでいます。合計13本の柱を上げて足元に基礎を作ります。
一番下がっていた中央の柱2本もレベルになりました。(次の工程の為に僅かに高く上げていただいています。)
中央の柱は1本当たり6トンの集中荷重が掛かっています。
a0116442_18570896.jpg

ジャッキを回すたびにミシッミシッと家が音をたてるので、家の重みを現実的に感じました。
土壁が落ちたり他の部材に影響がないか心配でしたが、無事にレベルまで上げていただきました。下がりが直り、鴨居の線もきっちり通ってきたように思います。
a0116442_18570855.jpg

主な柱には蟻害がなかったのですが、地覆土台や縁側の土台の一部に蟻害が見られました。傷んでいる部材は交換し、木部に水が回らないように施工をしていただきます。
しばらくは構造体の補正修理をする工事が続きます。





by frontdesign | 2017-03-08 19:47 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況2

解体が進み、柱を上げるための準備が始まりました。
a0116442_17004161.jpg

中央の2本の柱が6cmほど下がっており、過去にも修理をされた跡がありました。
地耐力を確認するために地盤調査を実施して柱の下がりを防ぐためにいくつかの工法を検討しました。解体後に最終確認をして最終的にはフーチングで基礎を作ることになりました。今日は実際に柱を上げて状況を見ながら基礎の打ち合わせをしました。
中央の通りの5寸角の柱には6トン弱の荷重がかかっています。結構な荷重ですが難なく上がったとのことで、良かったです。
1本を一気にレベルまで上げると全体の歪みが生じますので、順番に少しずつ上げられるとのことでした。合計10本の柱の足元に基礎を作り、地覆で下がっている部分には猫土台を入れることになりました。
a0116442_17010018.jpg
ジャッキアップする際に上の荷を軽くするために、瓦の葺き替えに先行して棟の熨斗瓦を先に下ろされました。
その辺の工程の組み方は民家改修ならではのことで、興味深く思います。
a0116442_17005290.jpg

つし2階内部。
むしこ窓の部分を壁から落としていただくと結構光が内部に入るようになりました。お施主さんにもご確認いただき、採光を補うために計画している天窓は数を減らすことにしました。
a0116442_17005366.jpg
サス構造で大空間のつしですが中央の2本の柱が屋根の多くの荷重を負担しているため、直下の1階の柱が大きく沈んでいます。

サスを受ける壁側の柱の仕口は、サスの頂部を支える中央の柱が下がることにより押されていますが込み栓が破断せずに効いており、粘りのある構造になっています。
a0116442_17005844.jpg

天理の家は築135年の民家です。
伝統工法の実際を見せていただき、現場では有意義な時間を過ごさせていただいております。


設計:FRONTdesign
構造設計(限界耐力計算法):井手晃二建築研究室
施工:(株)伏見建築事務所




by frontdesign | 2017-02-28 18:01 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況1 

内部の解体が始まりました。今回の工事は間取りの変更、耐震改修、断熱改修を行うため、一旦、内部を骨組みに近い状態に解体します。
a0116442_05280161.jpg
間口2間の通り庭(土間)のある住まいです。
a0116442_05402804.jpg
建具と畳を取り、天井や床もめくり、隠れていた部分の壁や柱の足元の状況を確認します。
耐震改修は、井手晃二建築研究室の井手さんに限界耐力計算方で検討していただきました。井手さんは古民家の構造家で、民家再生のための構造設計を多く手掛けておられます。志賀直哉旧居の再生や奈良町の紀寺町宿なども井手さんが耐震設計をされています。
今日は、骨組み状態になった現場を再度ご確認いただき、下がっている柱を上げて下がりを止めるために新設する基礎の構造について、施工者、お施主さんと一緒に打ち合わせをしました。
a0116442_05402886.jpg
古い建物は柱と梁で構造されており空間には壁が少ないのが特徴ですが、建具の鴨居の上には小壁があり構造上の耐力になっています。
a0116442_05285872.jpg
天井が張ってあるところは天井から上に小壁がついていないケースが多いのですが、こちらではほとんどの箇所で梁まで壁がついていました。壁が上まで到達しているかどうかで耐力が変わってきます。
壁の色が違うところの上が天井から上の部分です。(仕上げていないので土壁のままです。)ここに壁があるかどうかは天井を取ってみないとわかりません。
a0116442_05285978.jpg
天井の吊木は竹の吊木です。竿に蟻で掛かっています。座敷の天井は天井板のみの張替えで出来ればと思い残してもらっています。
a0116442_05285962.jpg

座敷の床柱は足元は柱勝ちで柱頭は梁まで達していました。床柱は後から入れて構造になっていないことも多いのですが、構造柱として建前の時に入れられたようです。
a0116442_05402845.jpg

2階は階高の低いつし2階ですが、小屋組みの一部に扠首(さす)が入っており大空間を構成しています。今回の改修で2階も居室として利用することになりました。元はこの上に10センチ近く土が乗っていましたが、土がなくなりすっきりしました。
床に段差がありますが、1階に天井が張ってある部屋の床は高く上がっており、大和天井のところは天井板が床になるため低くなっています。

a0116442_05305114.jpg
斜めにかかる扠首が大きな丸太の棟木と母屋を受けています。野地は竹野地で半割の竹の上に杉皮が張ってあります。
a0116442_05435138.jpg

2か所の扠首の直行方向に筋違が入っています。井手さんにお聞きしますとこの筋違は構造的にも効いているとのことでした。
a0116442_05464288.jpg
虫小窓は格子を取りました。今回2階を居室にするにあたり、これらの低い位置の窓だけでは内部の採光が不十分になるので、天窓をつけて明るさを補うことにしました。
a0116442_05491302.jpg
屋根は瓦葺きです。現在は下地に土が乗っていますが今回の工事で桟葺きにして瓦を葺き替えます。桟葺きの方が重量が軽くなり、耐震的には有効になります。
a0116442_05332552.jpg




by frontdesign | 2017-02-23 07:10 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 着工

天理の家の改修工事が始まりました。
135年前に建てられた整形六間取り、2間の通り庭を持つ民家です。
今回の工事では、間取りの変更の他に耐震改修、断熱改修、つし2階を居室にするなどの主屋全体の改修が主な工事です。
a0116442_18401768.jpg

工事に先立ち、大工さんたちを集めて工事概要説明と打ち合わせをされました。施工は(株)伏見建築事務所さんです。
a0116442_18391527.jpg


四間取りや六間取りなどの古民家は、部屋と部屋が襖などの建具で仕切られており冠婚葬祭の時には建具をはずして広間として使われていたため、開放的であると同時に壁が少ない建物です。
a0116442_18391659.jpg

太い梁柱が使われた伝統工法の民家の良さを生かして改修をするので、限界耐力計算という構造計算方法で検討することにしました。(構造設計事務所)
外部廻りは土壁、室内には荒壁パネルを使い一部壁を増設し、既存の構造のフレームは崩さずフレーム軸上で耐力を持たせます。
耐力壁の位置と種類を示す軸組図です。
a0116442_00233683.png



南側と北側には長い縁側が通っています。北にも南にも庭がありますので夏場は風が通り抜けてさぞ涼しいことでしょう。
これから解体が始まりスケルトンの状態になります。
a0116442_18401891.jpg

今日は建具を外す前に建具の状況を再確認させていただきました。
建具は引き戸ばかりですので引手金物が大活躍。引手は作り替える建具にも使わせていただく予定です。
和風金物は良いですね。今の住宅普請ではほとんど使われなくなった金物類がたくさん使われており、目の保養になります。
a0116442_18391951.jpg




by frontdesign | 2017-02-14 23:27 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 奈良県生駒市


by yuriko iwaki