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耐力壁の破壊実験

滋賀の木考塾のセミナー「きほんのき」(木造の耐力壁破壊実験)に参加しました。
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設計で構造を考える上でも、実際の現場でも、とても馴染みのある耐力壁ですが、破壊の経過でどのようなことが起きるのかを目の前で見ることができてとても参考になりました。
実験方法は変位を計測しながら力を加える方法で、壁倍率認定のような厳密なセッティングではないとのことでしたが、引張圧縮による変位と破断の状況は分かりやすかったです。
計測は一般的な在来軸組み工法の変位をもとに層間変形角1/120(軽微)、1/30(大破)、破壊での状況を確認しました。
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大破、破壊状況。
柱梁は杉で土台は桧です。金物の接合部が木よりも強く土台が破断。
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こちらは圧縮により片筋違が破断。(2P 間柱無し)
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合板張り耐力壁。足元の金具のところで破断。(層間変形1/30rad  上下の変位は9センチです。)
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別の計測器で金物を使わない長ほぞ込み栓(告示(ろ))の耐力実験も行われました。込み栓の材は樫。
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応力が落ち破壊状況を確認してから込み栓を抜いて検証。込み栓と込み栓の下部が破断していました。込み栓が先に破断すると折れた込み栓が楔のようになり、その後に応力が復活するとのこと。宮内建築の宮内棟梁が説明してくださいました。木の性質を生かした昔ながらの技術はなかなかすごいです。
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今回の実験に使われた木は、4寸角の杉桧で天然乾燥のものでした。こうして見せていただくと高温乾燥材(特に杉は高温乾燥で組成が変性したもの)は、金物の接合部の耐力が天然乾燥よりも下がるように思いました。


話は変わりますが、私が子供のころに祖母が住んでいた2階建ての古家は、その昔に町から移築したものだということを最近聞きました。荷車に積んで運んだ風景が思い浮かびます。
昔の家は土と木と瓦と竹(建築の築という字の通り)でできていて、束石の上に乗っていました。金物やビスやボンドは使われていないので、木の再生・移築も簡単だったのだろうと思います。木だけではなく、土も瓦も再生出来ますね。
それこそ、中世の頃には大きなお城も移築することがあったようです。
抜き差しで取り外せる長ほぞ込み栓の仕口は、昔は町場の大工さんが普通に加工されていた日本独自の技術ですが、拝見しながら祖母の家の移築のことを思い出しました。


今回の実験は、ポリテクカレッジ滋賀で開催されました。同校の住居環境科の学生さんが”耐力壁ジャパンカップ”という大会で3連覇されているそうです。(2位の東大、3位の東工大を抜いて)
金物を使わずに相当に強い耐力壁をつくることを研究されているとのことで、素晴らしいですね。
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 住まいの設計 「木の家づくり」 奈良県生駒市 一級建築士事務所 FRONTdesign  
by frontdesign | 2015-01-27 01:27 | 設計について考える | Trackback | Comments(0)

Joの家 進捗状況  風の道

工事の方は順調に進んでいます。
床下地は構造用合板を使用せずに杉板の30mmを張っています。1階2階ともほぼ張り終わりました。

この季節、陽がよく入ります。
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2階の階段を上がったホールにトップライト(電動開閉式)を設けています。
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1階2階ともほとんどの扉を引き戸にしており、夏場に戸を開けておくと家の中の熱気をこのトップライトから出すことが出来ます。


1階2階とも回遊できる間取りです。
2通りのアクセスができると裏動線も出来て便利ですが、窓のつけ方によって風の通り道をつくることもできます。
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寝室の東窓は地窓に。
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建物東側は夏場の午後以降は陰になるので地面も冷めます。盛夏以外は心地よい風が入る事と思います。
ここも西に抜ける風の道をつくっています。


窓の位置や窓のタイプによって、室内の環境も変わってきます。
窓を開けて過ごす季節と、窓を閉じて太陽の恵みを受ける季節。
どちらの事も考えて自然の恵みを活かせるようにしたいと思います。
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by frontdesign | 2015-01-24 07:08 | 新築 Joの家 | Trackback | Comments(0)

JIA”建築と子どもたち” 木を使って等身大の場をつくるワークショップ

今日は小学6年生対象のワークショップに参加してきました。
”つくるおもしろさの体験”がテーマで、杉の角材と丸棒(JIA大阪会の”つみスギくん”)をつかって「親子で語らう思い出カフェ」の場をつくってもらいました。

6つのチームに分かれてチームごとに1つの場を作ります。
私がスタッフとして入ったチーム”オラフ”は、男の子3人女の子2人の5人のチームでした。与えられた時間の中で力を合わせて無事に思い出カフェが完成しましたが、何度でも1から考えなおす柔軟さとチーム作業の過程がとても面白く、少しご紹介させていただきます。

まずは、自分たちが使う材料を並べて思案。
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部材を手に取り組み立て、増殖方式で立体をつくることに。
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だんだん形になってきました。
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増殖の途中で手が止まってしまいました。もう少し高さ感がほしいなという意見も出てきて案がまとまらず、一旦すべて解体。


今度は事前に少し話し合いをして、角材を柱のように使う方法ですすめることに。
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どうも不安定です。大人も一緒に考える。
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部材を反対にひっくり返すと滑り台みたいになりました。
面白いけど完成後にホットケーキを食べるカフェとしての座る場所がない。
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またすべて解体。1からのスタートです。

今度は親子で座って語らうカフェという目的を強く意識して、8角形のサークル状の場にすることになりました。
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完成!サークルの中に入る回転扉のような可動式ゲートがあります。施錠もできまして、みんなのお気に入りです。
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とても安定した形になりましたが、サークルの中に入ると中のまとまり感があり、みんな笑顔に。
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入口に木のプレートも設置。チームオラフの「オラフ園」。みんな頑張りました!
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他のチームもみんな完成して、PTAのお母さん方が作ってくださったホットケーキを美味しくいただきました。
チームごとに自分たちの作った空間について発表をしたり、お互いの感想を書きあったりと意見交換も活発に行われ、充実したワークショップでした。
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中庭のプリン山の人工芝斜面を使った作品が山頂の作品と連結したものもあり、その時その場の創造物のリアリティーがあり、とても面白かったです。いろいろなことができますね。
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ご企画ご準備いただいたJIA奈良会のみなさま、学校の先生方とPTAのお母様方、遠方から応援スタッフで来てくださったJIA大阪会和歌山会のみなさま、奈良女子大の学生さん、そして主役の6年生の生徒のみなさん!本当にありがとうございました。とても楽しい一日でした。


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by frontdesign | 2015-01-21 01:32 | その他 | Trackback

マダガスカルと地宝論

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年末から年始にかけて、マダガスカルでのフィールドワークの本「身をもって知る技法」(飯田卓氏著)を読んでいました。毎晩、本の中で筆者と一緒にマダガスカルを歩いているような感覚が味わえ、その時間はまるでマダガスカルに居るかのような不思議な時間でした。年始にマダガスカルから帰ってきて、田中優さんの地宝論を先日読みました。
林業の下草刈りと牛の放牧、ぶたは竹が好き、特用林産物、木のこと山のこと、燻煙乾燥水中養生の歩留まりの良さ、杉だけに含まれる体によいもの、食べ物のことや酵素のこと、自給率のこと、輸入品が安いわけ、、、、、、原発のことや自然エネルギーのこと、そして、お金のこと、みんなが貯金しているお金の使われ先のこと、地域へはなかなか還元されないこと、地域への還元の方法のこと、等々、思い出すだけでたくさんあります。

1年ぐらい前から「物々交換が出来るといいなぁ」と真剣に思うことが何度かあり、自分に出来ることは設計なので設計費の一部は物納いただくか地域通貨のようなものでもいいなあと考えたりしています。あまり共感を得ることもなかったのですが、先日、設計関係の女性だけで新年会をした時にその話をすると、みんなに「それイイねー!!」と共感してもらえました。

マダガスカルと地宝論、分野も内容も異なる本ですが共通する世界がありました。


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by frontdesign | 2015-01-16 21:32 | Trackback | Comments(0)

角ノミ機

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固定して手で回しながらほぞ穴を加工。
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最近の木造はプレカット加工が主流なので、手刻みで家づくりをする時に助けとなる刻み用電動工具が激減しており、もう販売していないものもあるようです。


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さて、何が出来るでしょうか。手刻みで作っていただいています。
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控え柱の頂部。
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出来上がりがとても楽しみです。


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by frontdesign | 2015-01-15 15:29 | 設計について考える | Trackback | Comments(0)

男の椅子

男の椅子が届きました。
秋岡芳夫さんデザインの椅子で、座面が低く幅の広い椅子です。(座面高さ35㎝、幅80㎝、奥行き56㎝。)

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男の椅子とかあぐら椅子とか呼ばれていますが、女性でもゆったりと座れます。

フレームはナラ材、座面は布地です。フレームは自然食の木地仕上げ、座面はワインレッドにしてみました。
(こうすると”女の椅子”とも言えそうな。)


事務所に置いていますので、座ってみたい方は是非お越しください。




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by frontdesign | 2015-01-14 15:09 | その他 | Trackback | Comments(3)

平群町”あすのす土曜講座” リフォームセミナーと住宅相談会 建築士会生駒支部

奈良県建築士会生駒支部では地域で開催される活動等に定期的に参加させていただいており、平群町で運営されている「あすのす土曜講座」にも年に一度、講座を持たせていただいております。

今年度は、1月17日(土)にセミナー(居心地がよくなる住まいのリフォーム術)と住宅相談会を開催します。
今回のセミナーは私が担当させていただくことになり、住宅のリフォームについて小一時間お話をさせて頂きます。
住宅相談会では経験豊富な建築士が揃ってお待ちしております。

日時:2015年1月17日(土) 予約不要
セミナー15:00-16:00 
住宅相談会16:00-16:30(奈良県建築士会生駒支部会員による)
場所:平群町中央公民館2階 
主催・お問い合わせ:あすのす平群(平群町観光文化交流館・平群町立図書館)0745-46-1120

ご近所のみなさま、是非お気軽にお越しください。


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by frontdesign | 2015-01-14 12:49 | その他 | Trackback | Comments(0)

2015年

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

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今年も木の家の設計に取り組んでいきたいと思っています。

昨年末のことになりますが、年に1度開催される奈良県森林審議会に出席しました。
例年通りその年度に林地開発が許可された案件について報告がありましたが、いままでに無かった開発目的として「メガソーラー用地」(太陽光パネル設置を目的とした開発)案件が二つありました。そのうちのひとつは30数ヘクタールに及ぶ広い森林開発でしたので、別途審議がされたとのことでした。地域の希少植物の保全に配慮する事を条件に許可されたそうです。
奈良県でも今後メガソーラー用地としての林地開発が増えてくることと思います。森林には保水機能や水源涵養機能など、人の命と暮らしを支える大きな役割が有ります。開発の条件が整っていたとしても十分な審議や新たな要件が必要ではないかと思います。


昨日は住宅にも関係する省エネ法改正案のパブリックコメントの締め切り日でした。断熱性能の恩恵は充分理解しておりますが、義務化されることにより別の問題が出てくると思い提出しました。今までのように推奨とし、税制優遇等の措置で良いのではないかと考えています。
メガソーラーによる森林開発や小規模建築物に及ぶ省エネ義務化など、大きな変化が急速に進みいよいよ身近なことになりつつあると感じた年末年始でした。


おしらせ。
昨年秋に生駒市北田原町に事務所を移転しました。お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。

生駒市北田原町1052-2 
住所がまだナビや検索に出てきませんので地図でご案内します。ひかりヶ丘住宅地横の道路沿い、広い田んぼの隣です。



 住まいの設計 「木の家づくり」 奈良県生駒市 一級建築士事務所 FRONTdesign  
by frontdesign | 2015-01-07 19:32 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 奈良県生駒市


by yuriko iwaki