国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 FRONTdesign

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市

奈良町町家改修工事 進捗状況

主屋に足場が組まれ、屋根の工事が始まりました。
工事は昨年秋から続いているのですが、表側に足場が立つと急に工事現場らしくなってきました。
通りから様子を見ていると、通りすがりの人に声をかけられます。瓦の葺き替えですか?とか、何になるのですか?とか、解体しはるんですか?などご質問も様々。みなさんチラッと中を覗いて行かれます。

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瓦を下ろすのに、道路側はスペースが無いので中庭側に下ろして、辰巳蔵内に停めているダンプまで一輪車で運ばれます。

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外は屋根工事、中は大工工事が進んでいます。

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北側の縁側にはアルミサッシが入っていたのですが、木製建具に戻すことになりました。
土台を直して床を水平に張り直し、敷居を入れて頂きました。これから古建具の寸法に合わせて鴨居を入れて頂きます。

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新しい鴨居。真ん中に釣り束を入れるのに、寄せ蟻という仕口を作っておられます。

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釣り束をはめたところ。

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相手側の桁には、元々釣り束が入っていた寄せ蟻の仕事がしてあり、これを利用して束を入れられます。

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蟻ほぞを差し込んで、コンコンと叩いてずらすと
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こんな感じで取り付きます。下に釣られる鴨居も同じ仕事ですが、頭も根ほぞ両方とも寄せ蟻の場合は精度が要求されるようです。
大工さんは、さささっと簡単に作ってサクサク仕事をされています。壁が出来ると見えなくなる部分ですが、昔から続く伝統的な工法です。

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こちらは通り庭に面するなかのまの、くい違いになっているところの鴨居。
ガラス障子が入っているところですが、鴨居は元々無目で溝は無く、つけひばたで溝を作っています。
当初は建具がなく、のちに建具が入れられたのかもしれません。

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通り庭の先に渡り廊下があり、離れ棟や納屋につながります。
その隣に茶室棟があります。主屋からの入り口は無く、南の前庭と北の中庭から入るようになっています。

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下地窓の墨跡窓や円窓があります。腰板付きの障子は改修後も障子のままにします。
現代の暮らしでは窓にガラスが入っているのが当たり前ですが、この部屋で過ごすと紙一枚の仕切りの世界を体感出来そうです。
窓の外には緑。風の音が聴こえそうですね。

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by frontdesign | 2019-05-24 08:05 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

by yuriko iwaki