奈良町町家改修工事 進捗状況

主屋は左官仕上げの工事が始まりました。仕上げは土の中塗り仕上げです。

まずは二階の三室から。
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壁が仕上がり、空間が整ってきました。

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南側の部屋は、竿縁天井の勾配天井になっています。
正面は造り付けの収納でしたが、壁を杉板張りで仕上げて部屋の一部としました。

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階段上の小窓は既存のものです。

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北側の部屋からは、庭をはさんで離れの二階が見えます。

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窓外の景色は、その地域ならではの景色ですね。

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南の窓からはお向かいさんの建物が見えます。この通りでは古い町家が数少なくなってきていますが、向かい合わせで残っていると景色になりますね。

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階段周りは、二階部分が土壁で一階部分は杉板張りの真壁納めにしました。

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一階。
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主屋は、二階も一階も典型的な一列三室型の町家です。一階は三室の東に通り庭があり、通り庭は奥が火袋(吹抜け)になっており、そのまま建物を出ると渡り廊下につながり、庭を介したハナレ棟や納屋棟に通じています。
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主屋奥の西の庭。板塀が出来ました。

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立派な井戸のある、暮らしの庭です。庭木も整備されます。


東の庭は先に完成しており、こちらの塀は杉皮張りです。塀の違いで趣も変わりますね。

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下地窓のある袖壁も、綺麗に土を塗って頂いています。薄壁で脆くなっていましたが、しっかりしました。

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前庭側はまだまだ工事中。

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茶室の濡れ縁の復元中。
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道路側の鹿よけで使われていた名栗の材料を、濡れ縁に使うことになりました。

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仮置きしてもらったところ。
古い建物の濡れ縁には、この六角名栗がよく使われています。良い感じになりそうです。

古材をも巧みに操る大工さんは本当に凄いです。大工さんのおかげです。

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主屋東側の喫茶室の工事も進んでいます。主屋との間に出来た開口部。
道路側面の調査をしたところ、東側のつし二階の建物は全面格子であった痕跡が見つかったこともあり、その当時の意匠に戻すことになりました。この喫茶室にも主屋入口から入り、通り土間に新たに設けた入口から入ることになります。土間高さの段差や、奥の庭のレベルが高いことなど、取り合いには悩ましい点が多かった部分です。
ガラス框戸が入ると喫茶室らしくなると思います。通り土間から喫茶室越しに前庭もちらっと見えそうです。

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外部は妻側壁の焼杉板が張り終わり、足場も撤去されました。

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つし二階の袖うだつも復元することになり、大工さんが下地を作ってくださいました。

正面の壁は黒漆喰、妻側は焼杉板。木部も濃茶色に着彩しますので、袖うだつの白漆喰の部分がひときわ美しく目立つことと思います。

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# by frontdesign | 2019-09-12 07:23 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

太陽熱でお湯をつくる  太陽熱利用温水器

先日、ポンちゃんの家にお伺いしました。
ポンちゃんの家は、空気集熱式太陽熱利用システム「そよ風」(環境創機)を搭載しています。

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8月某日の午前11時。
外気温は36度。かなりの猛暑日です。
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屋根裏の棟温度は76度。これから午後にかけてさらに上がりそう。

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太陽熱を利用してお湯をつくるシステム(お湯採り)も取り入れており、お湯の温度は55度!
給湯に太陽熱を利用する方法は、あらゆる太陽熱利用システムの中でもダントツでエネルギー変換効率が高いです。夏場の酷暑は辛いですが、太陽熱でたっぷりお湯が作れるのは楽しみですね。

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私が子どもの頃に太陽熱利用温水器が流行った時期があり、屋根の上にオレンジやブルーの機器が載っている家を時々見かけました。
当時のものは蛇口をひねると高い温度のままお湯が出てくるもので水と合わせてお風呂にお湯を貯めていたそうですが、現代のものは給湯器にお湯のパイプがつながれており、水と混ぜられて適温(設定温度)になって出てきます。



室温は27度。エアコンもつけておられ、とても快適でした。

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太陽熱利用温水器だけを設置することも出来ます。長府製作所やノーリツがシェアの高いメーカーです。 この辺りでは、長府製作所のものが多いように思います。
太陽熱利用温水の方法にはいくつかの種類がありますが、大きく分けてふたつのタイプがあります。
ひとつは屋根面のパネルで暖められた不凍液を循環させて地上に設置した貯湯タンクの水をお湯にする方法、もうひとつは屋根面の貯湯タンク付きのパネルに直接水を送り、温めて屋根面に貯湯する方法です。前者は地上の貯湯タンクから家中の給湯に太陽熱で温められた温水を利用でき、後者は屋根面の貯湯タンクの衛生上のことがあり浴室専用になります。昔流行っていたのはこのタイプです。
装置としては後者の方がシンプルで価格も安いですが、給湯器は浴室用とキッチンなどその他用として2つ必要になります。
また、外観的には後者のものはお湯を貯めるタンクが屋根のパネルについているので少し大きなものになり、前者の方はパネルのみなので薄型でスッキリしています。


冬場は太陽高度が低いので夏場のような高温のお湯は作れませんが、年間を通して給湯エネルギー消費が少なくてすみます。

晴れているとお湯が作れると思うと、自然の恵みを暮らしに活かすことがとても楽しみになるように思います。






# by frontdesign | 2019-08-21 18:21 | 設計について考える | Trackback | Comments(0)

8月31日(土)第21回吉野の森見学バスツアー開催のお知らせ

次回の吉野の森見学バスツアーは、8月31日(土曜日)です!

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2012年より奈良をつなぐ家づくりの会で定期的に開催しているこのバスツアーも、今回で第21回目になりました。ツアーの企画は会の幹事の泉谷さんにしていただいており、山の方にも多大なるご協力いただきながら開催させていただいている次第です。


今回は吉野の川上村で山にどっぷり入り、山守さんが普段していることを体験するツアーです。

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3年前にみんなで書付したところはどうなっているか。

山の木の手入れの仕方は?

山のことや木のことを教えていただきながら、山守さんの仕事体験をします。
お子さまにもご参加いただける内容です。
無垢の木を使った健康的な家づくりを考えておられる方、自然が大好きな方、山のことや木のことを知りたい方、林業に興味のある方、など、みなさまのお越しをお待ちしております。

奈良をつなぐ家づくりの会主催
「第21回吉野の森見学バスツアー」
8月31日(土)
集合場所 近鉄・JR桜井駅北口 08:55
解散場所 同じく桜井駅北口 17:30の予定

参加費 大人 2,500円 小学生以下 1,000円
※バス代・昼食費・講師料・保険料含む


この季節の山道は、ヒルが出てくる可能性があります。
服装は、足元は長ズボン、靴下、運動靴等(素足にサンダルは危ないです。)
また、ヒルが上から落ちてきて首元から入ることもあるようですので、首元が大きく開いていない服が望ましいです。首にタオルを巻くのも良いようですので、タオルもお持ちください。


◎お申し込み方法 
・お名前
・ご参加人数(お子さまの参加の場合はお子さまの年齢も)
・当日連絡先
をお書き添えの上、下記アドレス宛てにメールでご連絡ください。
定員(20名程度)に達し次第締め切りますので、どうぞお早めにお申し込みください。

奈良をつなぐ家づくりの会幹事 泉谷繁樹さん 
izutani@moritosumai.com








山に入り木や土に手で触れ、そこで自然を相手に施業をされている山守さんの話をお聞きしていると、日常の暮らしの中で忘れていた大切なことを思い出すような感覚を覚えます。そして、町での暮らしが遠く離れた山ともつながっていることも面白く思っていただけることと思います。

いつも吉野材を使って家づくりをしております。それらの木は自然に生えているのではなく、人の手で植えられ山守さんに代々撫育されてきた木です。住宅に使われる材は少なくとも50年以上、中には120年以上前に植えられた木。植林するときには、自分の代で伐るのではなく、孫の代、もっと先の時代で使われるために木を植えられます。吉野林業は室町時代より続いており、長い歴史があります。

以前に新築住宅を建築しているときに、使わせていただいた材を育てられた山守さんが建築現場を見に来てくださったことがありました。化粧柱を1本ずつ見ながら、ここがこうなっているのはあの時の施業の成果だと柱を撫でながらお話してくださいました。伐採され製材された木の木目を見て、そこまでお分かりになることに大変驚きました。山守さんは山のことを知り尽くし、高い技術をもって丹精込めて育てられているのが良く分かりました。


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床・壁・天井も
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和室周りも
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山から始まる家づくりです。

是非吉野の森見学バスツアーにご参加ください!





# by frontdesign | 2019-08-12 08:30 | 奈良をつなぐ家づくりの会 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家改修工事 進捗状況

辰巳蔵のシャッターが撤去され、格子への改修工事が始まりました。

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中から框や鴨居を取り付けて頂いています。

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框と鴨居は檜材です。加工場にて。

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目が詰まっており、素直で通直な良材です。凄い。

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前庭から主屋の通り庭への入口周りも整って来ました。

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前庭は、主屋、辰巳蔵、手前の茶室に囲まれています。

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主屋と辰巳蔵の間の開口も出来て来ました。新しく白木の補強梁の入っている部分です。
主屋と辰巳蔵は前庭側からしか行き来が出来なかったので、この度の改修で一部を開口にしてつなげることになりました。この辰巳蔵部分は喫茶店になります。
手前の鴨居は真ん中(束の部分)が下がっていたので引き戸の開閉がとても固かったのですが、真っ直ぐ水平に直していただきました。
土壁は小舞下地から残しておきたい旨をお伝えし、下地から残しながら上げてくださいました。

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辰巳蔵側。こちらは主屋から1段上がり床は土間仕上げになります。

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主屋の二階へ上がる階段の壁は、真壁のまま吉野杉の板張りにしました。
階段の幅が少し狭いので、左官壁だと壁が痛む可能性があり板にすることになりました。全面大壁にすると、柱より手前に壁を作ることになり階段の幅がさらに狭くなるので、真壁納まりにして頂いた次第です。
出来てみると、真壁の板張りも結構良い感じになったと思います。古色に塗る予定でしたが、このままでも良さそうに思います。

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二階の高さのところは、空間にゆとりもあるので土壁にします。
右の垂れ壁のところも杉板張りに。とてもいい感じです。
古い建物は歪みがありますので真っ直ぐ通っていないところが多いです。どこに合わせていかに真っ直ぐに見えるか、良い塩梅に納められるのに、感とセンスと技術が必要です。
大工さん、痺れる仕事をしていただき有難うございます。。
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二階は、左官の仕上げを待つのみ。
この西村邸には、町家建築には珍しく大きな大黒柱(通し柱)があります。
桧の四方無地。表面はなめらかに仕上がっています。
一番最初に大工さんに現場に来ていただいた時に、この桧の柱を撫でながら”凄くいい仕事をされている”と感心されていました。100年前の仕事です、なるほど、「いい仕事をしないと後世の人に笑われる」という言葉をよく耳にしますが、いい仕事をすると後世の人にずっと褒められ続けるのだなと感慨深く思いました。

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この天板は通り庭につくる流しの天板で、胡桃の一枚板です。広葉樹系にしたいと思い、吉野のグリーンフォレストさんへ。いろいろな板を見せて頂き、お施主さんと一緒に胡桃を選びました。片方のそばを落として頂き、手前は耳付きに。材料と出会ってから耳付きにしようと決めました。
丸い穴をくり抜いてステンレスシンクを取り付けます。

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この材料は栗の名栗材。主屋前面の鹿よけが傷んでいるので取り替えることになり、元の寸法そのまま復元します。
名栗専門店の橘商店さんに納材・加工して頂きました。上下の框も貫も全て栗材。色艶のよい良材で完成が楽しみです。

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この延石は、辰巳蔵の格子壁の地覆の下に敷く石です。石材店に行って選ばせて頂きました。古石で見つけられれば良かったのですが、高さや長さもあるので、新しい中でも古いものにしました。石も年月と共に古くなるので、経年変化を楽しめればと思います。

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いろいろな素材選びでした。



# by frontdesign | 2019-08-08 12:48 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

夏休み インターンシップ

今年も県立朱雀高校建築科の学生さんが、インターンシップで3日間の就業体験に来ていました。

建築が好きで現場が大好きとのこと。
3日間のうちの2日は、改修中の現場に同行してもらいました。

築100余年の町家の改修現場。職人さんからの質疑内容や現場打ち合わせも、ひとつの経験として貰えれば嬉しく思います。
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事務所では、線画の外観パースに鉛筆で表情をつけてもらいました。

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現場では、あちらこちら興味を持ってみているようでした。難しいことだらけとは思いますが、今後は古い建物の再生工事も増えてくると思いますので、興味を持って貰えると嬉しいです。

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暑い中、お疲れさまでした。
これからも頑張ってください。







# by frontdesign | 2019-08-02 00:12 | その他 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市


by yuriko iwaki
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