国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 FRONTdesign

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市

体感温度 と 住まいの工夫

 住まいの設計 「木の家づくり」   奈良県生駒市 一級建築士事務所 FRONTdesign  

学生時代、隣のゼミ(堀越哲美研)の友人が都市別体感温度の卒業論文を書いていました。
日本の都市で最も体感温度が高いのは”大阪”だそうで、この季節になると毎年その事を思い出します。確かに大阪の夏は暑いですが、日本一だったとは。

体感温度とは人間の肌が感じる温度の感覚を数値に表したもので、気温の他に湿度や風速等によって影響されやすく、一般的には風が強いときほど体感温度は下がり、風速1メートルで体感温度が1度下がると言われています。体感温度が下がるのは人体から環境へ奪われる熱量が多くなることであり、実際にからだを冷やすことになります。
室内にいる人の体感温度を下げるための工夫として

・家の中の風通しを良くすること
家の中の風通しを良くすると体感温度を下げるとともに、建物にこもった熱を通気により冷ます事にもなります。
風通しのための窓を開けるときは、風の入口の窓を開ける共に、風の出口の窓を開ける事が大事です。また、空気は温度差によって対流するため、入口と出口の窓の高さを変えたり、南の窓と北の窓など外部の温度環境の違う方位の窓を開けると効果的です。階段や吹き抜けまわりの上部の窓を開けると、家の中の熱気を逃がすことが出来ます。その時に北側などの建物の影になっている部分の窓を開けておくと、温度の低い空気を家の中に取り込むことが出来ます。

室内の温度自体を下げるための工夫としては、窓から入る日ざしを防ぐことと、建物に日差しが到達しないようにすること(影をつくる)があげられます。

・よしずやすだれ、ブラインドを設置する
これらは、日ざしを遮断して室内に入れないだけでなく、影をつくり空気や風は通るので通風ができます。
ブラインドは室内側に設置した場合は日射を4割しかカットできませんが、屋外側に設置すると7割カットできます。

・樹木や緑のカーテン 植物の影の利用
樹木を日当たりの強い窓近くに植えると、木陰が出来て窓からの日射の侵入を防ぎます。落葉樹だと冬場は葉が落ちるので、太陽の温もりを室内に取り込む妨げにはなりません。

室内環境は窓からの熱の出入りや日射の影響が大きく、建築的には窓ガラスの性能(日射遮蔽性能)の高いものに入れ替える事も夏場の遮熱に大変効果的ですが、上記のような窓辺の工夫だけでも随分効果があります。
ガラスの日照遮蔽性能は断熱性能とは全く異なるものです。窓をペアガラスや2重窓にして断熱性能を高めても、日射の侵入を防ぐことは出来ません。例えば冬場の天気の良い日に、南の窓の前の床がとても温かくなるのは、外気温とは関係なくこの日射の恩恵によるものです。日照を遮蔽すると冬場の太陽の温もりも伝えにくくなるので、寒さの厳しい地域の窓ガラスはこれに頼らない方が年間を通して考えると快適です。

・打ち水をする
住まいの周囲に打ち水をすると,水分が液体から気体に変化する時に多くの熱が奪われるので気温が低下します。

これらは昔からの暮らしの工夫ですが、自然に即した工夫としていまいちど暮らしに取り入れてみたいものです。
by frontdesign | 2012-08-09 13:54 | 設計について考える | Trackback | Comments(0)

by yuriko iwaki