国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 FRONTdesign

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市

長屋ファサードのデザインコード

所属団体で地域の古い建築物の再生活用提案をすることになり
昨年来調査した地域の中で、某建築群をピックアップして再生活用案をつくることになりました。

方針を決めて作業を分担して進めますが、私はパースを描くことになりました。
大正時代の建築群(長屋)ですが、建物間口、全く同じ形状の2階の高欄(窓の手摺)がほぼ残っており(9軒中7軒 1軒はつい最近撤去されました。)
特徴的なこの高欄を統一することになりました。(撤去部分は復原)
この形の高欄は、界隈に現存する大正時代の建物にも多く残っている形状の高欄です。

2階が気持ち悪いくらい統一される為、1階は現状の形・柱位置・開口をそのままに
改修が必要な部分は地域に在るデザインコードを取り入れ、
しかしパターンはつくらず、改修部分を混ぜながら出来る限り全てが違う形状になるようにしました。

一の通り
現況
長屋ファサードのデザインコード_a0116442_1793390.jpg

改修案    表面を覆うパネル外装材撤去、一部2階増築部分を元に戻す、高欄2カ所を復元。
長屋ファサードのデザインコード_a0116442_21202229.jpg
↓ プラス ひと・照明・のれん・看板
長屋ファサードのデザインコード_a0116442_21203062.jpg


二の通り
現況
長屋ファサードのデザインコード_a0116442_1794817.jpg

改修案    表面を覆うパネル外装材撤去を基本とし、大幅な改修はありません。
長屋ファサードのデザインコード_a0116442_2120427.jpg
↓ プラス ひと・照明・のれん・看板
長屋ファサードのデザインコード_a0116442_2120121.jpg

(右端の空き部分には連続する長屋があったのですが、近年一棟だけ撤去されて近代的な住宅に建て替えられました。)

外壁の色の構成も重要です。
既存の二階外壁の一部に残る土壁中塗り仕上げと、漆喰の部分を
これも統一せずにランダムに仕上げる案を考えました。
このような割の小さい建築群で不自然さを無くすには、それぞれの個性が無いと上手くいきません。
ちゃんとした修復・修景が出来れば、都市の中の魅力ある通りになるように思うのですが、どうでしょうか。

連続して残っている事が面白いのですが、これを一つの大きな建物と見るか、建築群と見るか
その理解によっても修景の結果が異なるように思います。

普段は、周囲の環境の中に一つの建築物を計画する仕事に携わることが多いのですが
建築群の改修計画はなかなか面白くも難しいものだと感じました。


学生時代は、建築群の計画やデザインの方が好きだった事を思い出しました。
周囲の景観に合わせてを考えると言うよりは、自己完結したかったのかもしれません。
あまり深く考えていなかったのでしょうね。


 住まいの設計 「木の家づくり」  
 奈良県生駒市 一級建築士事務所 FRONTdesign  

by frontdesign | 2013-02-14 21:58 | 設計について考える | Trackback | Comments(0)

by yuriko iwaki