国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 FRONTdesign

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市

第16回吉野の森見学バスツアー

日曜日の吉野林業ツアーに引き続き、今日は奈良をつなぐ家づくりの会主催第16回吉野の森見学バスツアーで川上村へ行きました。

今回は、山守りの玉井さんに吉野林業の施業の話をお聞きしました。

木の株で火を起こしてコンロをつくる方法を教えていただいているところ。
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代々、撫育されてこられた200年生に近い森です。同年生の木でも太さはいろいろですが、太い木は成長が早かった木なので細い木に比べると年輪は荒くなります。
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隣には15年生の森があります。
15年前に植林されたところで周囲には獣害除けのネットが張られています。これだけ若い森も初めて見学しました。今、全国の林業地で獣害が問題になっており、森の健全な維持の妨げになっています。特に問題になっているのは鹿で、その他イノシシ、中にはウサギの過繁殖の被害もあるそうです。動物の違いで被害が違う話もお聞きしました。特に若木は獣害で植林後に全滅していまう森もあるそうです。ここはネットの効果があり健全に育っていました。15年たってもまだひょろひょろの細い木ですが、上に真っすぐ、幹の太さも均一に伸びています。この育て方がとても大事で、今後50年、100年と間伐を続けられ立派な森を作られます。将来が楽しみな森です。
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川側の15年生の木々。思った以上に細く背が高かったです。
木を伐採後はしばらく葉枯らしをしてから玉切り(3Ⅿ、4Ⅿの長さに切る)をしてトラックやヘリで搬出していますが、昔は川が運搬経路でした。吉野川から海へ出て大阪湾から京都へと運んで寺社仏閣等の普請に使われていたそうです。とても浅い川ですが堰を作って水を貯めて、原木で筏を組み、堰を崩して川を流すとのこと。岩場のところは難航するところで、明治になって土倉庄三郎氏が岩を切って水路幅を広げられたそうです。
今まで何度も山に行かせていただいておりますが、初めて知ることもたくさんありとても面白かったです。
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お昼は、川上村に嫁いだ若奥さんの茶粥をいただき体も温まりました。暖もとらせていただき大変お世話になりました。(ごちそうさまでした。)
そのあと参加者のみなさまは吉野の製材所ホーッテックさんに見学に行かれたのですが、その次の「奈良をつなぐ木の家」構造見学会の準備の為に現場へ先回りしました。

ご一行30人の方に入っていただきました。
30人も入っていただけるかなと思いましたが、詰めて座っていただき少し温かくなったように思います。
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設計者、施工者、製材所で家づくりについて説明させていただき、最後にお施主さんからも話をしていただきました。(有難うございました。)
( 施工:(株)伏見建築事務所 製材:泉谷木材商店 設計:FRONTdesign )
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2階も見ていただきました。
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家をつくる材料の木は長い年月をかけて撫育されたもので、製材所では美しい木を生かす工夫をして加工され、そして家づくりの現場では大工職人が木を見て木の性質を生かし組み上げる木の家づくりの一連の流れを見ていただくことができたと思います。

家が出来上がると当たり前のような木の家ですが、出来上がるまでの過程で多くの人が関わりさまざまの工夫がなされています。
均一の材料ではありませんが、だからこそ人が親しめる風合いを木は持っています。
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日が沈むのも早くなり、投光器をつけての見学会になりました。
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寒い中ご参加いただきましたみなさま、有難うございました。
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次回の見学バスツアーは来年の春に開催予定です。(主催:奈良をつなぐ家づくりの会)


奈良をつなぐ家づくりの会のツアー担当の泉谷さん、梶村さん、いい企画を有難うございました。とても勉強になりました。



by frontdesign | 2016-11-23 23:38 | 奈良をつなぐ家づくりの会 | Trackback | Comments(0)

by yuriko iwaki