奈良町 花園町
2018年 08月 24日
奈良町の改修現場は、細長い敷地の中に主屋・辰巳蔵・茶室棟・離れ・納屋の5つの建物と、主屋と離れをつなぐ渡り廊下、そして間々に4つのお庭があります。一番奥の離れの2階の窓からは、それぞれの建物の瓦屋根が見えます。連なる瓦屋根はとても美しく、また、複数の建物が敷地の中でつながりを持ちながら建っている様子に、想像力が掻き立てられます。窓から屋根屋根を見ていると、子どもの頃に建築に興味を持ったきっかけがそのようなことだったのを思い出します。
離れ棟の解体が進み構造体が見えるようになりました。昨日は補修の方法について大工さん達と現場で打ち合わせをしました。大きな補修から細部の補修まで、この建物をいかに健全に長持ちさせるかと言う視点で様々な意見が出て、こちらも勉強になりました。
二階の小屋裏から棟札が出てきました。
大正4年4月8日の日付が入っています。主屋も大正4年の築造であることが確認できており、離れも同時期に建てられたことが分かりました、大正4年と言えば103年前になりますが、大きな改修もなく建築当初に近い形で使われていたようです。
ここは奈良町の花園町と言うところで、町のことが書かれた札が通りの古い町家に掛かっています。平城京に都が遷都した時に飛鳥から移築さらた元興寺にお供えをする花を育てた花園があったことから、花園町という名前になったそうです。
その後は鎌倉期より民家が立ち並んでいたそうで、江戸期には能役者や春日若宮おん祭に参勤する大名の宿所を提供する宿場町になっていたそうです。(ウィキペディアより)
鎌倉期と言うと800年程前。その頃から人が住み継いできた町で、宿場町としても栄えていたことを想像すると感慨深いです。
建物が残り続ける理由のひとつに、その建物がひとに愛される建物であるということがあります。
棟札を見ると、ご当主や棟梁が建物に込めた思いを感じます。ここに住まうご家族が幸せに、そして100年200年と愛される建物であって欲しいと願われていた事と思います。
建物の歴史に気持ちを寄せて、これからも長くお住まい頂けるように丁寧な改修をしたいと思います。
花園町と言うと、花園温泉と言う銭湯があります。一度この暖簾をくぐってみたいです。
by frontdesign
| 2018-08-24 08:00
| 町家改修 奈良町 西村邸
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