ふたりと二匹の家 上棟
2021年 03月 13日
手刻みの材料が加工場から現場に運び込まれ、三日ほどで組み上げられました。
平面的な基礎の上に一気に組み上がりますので経過を見ているととても面白いのですが、人力の力強さと大工さんの技能は凄いなぁと改めて思います。
無事に上棟。
上棟というのは、屋根の頂部に据える横架材の「棟」(むね)が組みあがることを意味しています。頂部は棟で、その位置より低いところに棟と平行に掛かる部材は母屋(もや)と言います。
平屋部分の小屋組みを支える丸太の梁も
無事に掛かりました。墨付けもバッチリですね。
手元にある時はかなり太い材に思えましたが、空中に掛かるとそれなりのサイズです。
基準になる垂木の設置中。
棟が上がった状態から
垂木が掛かり野地板が張られて、家らしい形になりました。
屋根は六寸勾配でいぶし瓦を葺きます。棟飾りも載せますので少し特徴的な屋根になると思います。
平屋部分の小屋組の丸太梁は、5.5メートル四方の空間の屋根を支えるためのものです。
最終的には天井裏に隠れますが、大工さんの技能あっての骨組みです。
二階の小屋組みは勾配が少しきついので、二重梁にしました。屋根の荷重の掛かる柱を考えて束の位置を決めます。
柱に番付けの墨が書かれています。左の柱の「に六」は、南北方向「に」通り、東西方向「六」通りの交点の位置を表しています。
平面的に見た時、直交するX軸Y軸方向の柱の通り芯に例えば、X軸方向は「い,ろ.は.に.ほ・・・」、Y軸方向は「一,二,三,四,五,・・・」と番号をつけて、その柱や壁がどの位置のものかが分かるようにします。
右の柱は「又ほ六」。この「又ほ」と言うのは、「ほ」と次の「へ」の間にある通り芯のことです。基準となる通り芯の間の通り芯には「又」をつけて表します。
「いの一番」と言う言い方がありますが、これはこの番付けが語源で、「い」の「一」番は一番最初に立てる柱、と言うところから来ているそうです。
現在は「X1,X2,X3・・・」「Y1,Y2,Y3・・・」が使われることが多いと思いますが、大工さんも「いろは」表記になれているので「いろは」を使っています。
番付だけでなく、一般に販売されている建築用構造金物の強度別分類も「い」「ろ」「は」、、、で表示分類されていますので、建築の世界では「いろは」はまだまだ一般的なものなのかもしれません。
長さの単位も、「尺、寸、分」がmm(ミリメートル)と併用して今も使われています。合板のような工業製品でも、大きさの通称として「サブロクばん」(3尺×6尺・・・約910×1820)と呼ばれています。仕事を始めた当初、「サントーばん」と聞いたときに何のことかわからなかったのですが、3尺×10尺(910×3030)のサイズということを知りました。
本日は上棟式を執り行っていただき、皆で上棟を祝い工事の安全を祈念いたしました。
工事の進捗が楽しみです。
by frontdesign
| 2021-03-13 00:20
| 新築 ふたりと二匹の家
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