国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 FRONTdesign

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市

瞳を閉じて気付くこと

昨日は建築士会生駒支部の勉強会、
視覚障害者体験勉強会「瞳を閉じて気付くこと」に参加しました。

講師は市民ボランティア団体ユニーズ代表大西正広先生と、
同団体でアイヘルパーの講師もされている辻村さんでした。
盲導犬のユニスくんも来てくれました。

大西先生からは視覚障害者の日常生活のことや建築の配慮や不具合に対するお考えや
盲導犬のお話や、アイヘルパーの方などいろいろなサポートのことなど、
様々な角度からお話いただきました。
辻村さんからはアイヘルパーの役目についてや
ヘルパーをされながらお考えになられていることなどお話いただきました。

いままで街で白杖をもたれた視覚障害者の方を見かけたときに
「なにかできることはありませんか?」と声をかけるのを躊躇していましたが
これからは声をかけてみようと思いました。
私でもなにか役に立てれば、と思います。
駅のホームはとても危険で、転落事故もたくさんあるそうです。
特に駅ではそのような声をかけてもらえたら大変ありがたいと
先生はおっしゃっておられました。
ひとりひとりの意識がかわって、
みんなが少しずつ支え合って生きることが本当のバリアフリーだと思いました。


実際に視覚障害者体験もしてみました。
アイマスクをつけて施設内の階段やトイレなどを二人一組(一人はアイヘルパー役)で体験し
外にも出てみて横断歩道も渡りました。

トイレは大変です。
男女の入り口(右か左か)、トイレの内部のブースの位置、
ペーパーの位置から水を流すスイッチの方法、
手を洗うところまで、場所によって全く違います。
ヘルパーさんは全てについて説明と案内をされるそうです。
公共のトイレは、ある程度ガイドラインが出来て
どこもおなじような作りになることが望ましいのではないかと言う話になりました。
身体障害者用トイレは空間が広いため
視覚障害者にとっては使いやすいものでないそうです。
エレベーターは、音声案内が無い時はいまどの階にいてるかがさっぱりわからなくて
お困りになられるとの事。
だれか乗り合わせの方がいれば、聞くことも出来ますが
そうでないと、自分の押した階以外で停まることもあるますし
それは大変なことだろうと思いました。

障害のあるなしに関わらず、
全ての人が社会で活動することの出来る世の中をつくるためにも、設計する立場の人間が正しい知識と意識を持つことが大切だと思います。


実際にアイマスクをつけて歩いてみると
空気の流れや周囲の音、太陽の光、広いところにいるのか狭いところにいるのか
天井が低いか高いか、床の素材の違いや誘導ブロックや注意喚起ブロックの感覚、
そばに人がいるのかいないのか、いろんなことがわかります。
自分のからだが、その場の空気感や音から
様々な情報を得ようと必死になって働いているのがわかりました。

建築は視覚頼りというか、目で見てどう感じるか、ということがどうしても前に出てきますが、
目で見ても言葉に出来ない
「なんとなく感じること」
(意外とそれが大きな印象だったり私たちの心に影響を与えるようなモノ)は、
瞳を閉じると具体的にそれが何なのかを気がつく部分があると思いました。


大西先生と辻村さんには、いろいろなお話をしていただいて
我々の質問にも丁寧にお返事いただき、本当に感謝しております。
有難うございました。
by frontdesign | 2009-02-08 16:38 | 設計について考える | Trackback | Comments(0)

by yuriko iwaki