カテゴリ:民家改修 天理の家( 40 )

天理の家 進捗状況35

室内建具の建て込みが始まっています。
1階の整形六間取りの空間は今回の改修で再構成しておりますが、基本的なフレームは変えず、新たな建具を入れます。キッチン食堂周りと今回工事範囲を仕切っていた部分が開放され、空間が広がりました。

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建具屋さんが鉋で削って調整しながら建て込まれます。
鴨居の内法高さは、昔の寸法のままにしていますので5尺7寸(1m72cm)程度です。建具屋さんは背の高い人ですが、より大きく見えます。
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キッチンもお使いいただいており、あたたかな空間になりました。キッチンは差鴨居や梁をそのまま化粧で現しました。天井の杉板も少し色が落ち着いてきたように思います。
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床の桧も、ここ4か月ほどでずいぶん色が濃くなりました。敷居から手前は今回工事範囲で養生していた部分なのでまだ白っぽいです。

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玄関回りも仕上がり、下駄箱のキャビネットも設置されました。
伝統的な民家は土間と床の高低差が大きいのですが、上がりやすくするために上がり框の玄関の間から2段の階段を設けました。
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上がり框のところに式台を敷いたり踏み石を据えて高い床に上がる方法が一般的ですが、今回の設計では東側(写真右手奥)への通路を設けるため、玄関の間の床を低く抑え、煙返しの大きな梁下をくぐれる高さを取りました。框の高さの設定は慎重になりましたが空間が出来てみると、太い大黒柱の見え方の比率や面積的な広さに対して違和感のない高さになったように思います。

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2階では電気屋さんが器具の設置中。1か所だけライティングレールを使います。
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丸太の筋交はそのまま化粧でみせています。階段ホールは窓が無いので隣室上部から光を取り入れます。
クールな空間になりました。
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”木の住まいの設計”
一級建築士事務所 FRONTdesign  岩城由里子
国産材・県産材を使って木の家づくりをしている設計事務所です。
yiwaki@kcn.ne.jp
奈良県生駒市北田原町1052-2










by frontdesign | 2018-02-21 20:49 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況34

玄関の大工工事が終わり、土間の仕上げが始まりました。

元の土間に据えてありました大きな割肌の石を少し上げていただき、周りは洗い出しで仕上げていただきました。
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100年以上使われてきた石は、自然に表面が削れて風格のある表情になります。どっしりとした石は良いですね。
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内部も着々と進んでおり、電気器具の設置や建具屋さんのつり込みも始まっています。
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玄関横の格子を室内から見たところ。ここには障子が入ります。縁側の障子との段違いも良い感じになると思います。
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こちらは内蔵の入口です。シンプルな納まりにしましたが良い感じになりました。化粧の梁と蔵の建具が良いですね。
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古い建物から多くのことを学ばせていただいております。






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by frontdesign | 2018-02-15 03:04 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況33

壁の左官工事が始まりました。
座敷周りも左官が仕上がり落ち着いた空間になりました。
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床の間の右側は仏間になります。仏間の壁は漆喰仕上げです。
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床の間の横は出書院です。出書院は、窓辺の文机が発展して床飾りになったものです。床の間横が広がり空間の余裕が感じられるとともに、横からの光で床の間が明るくなります。実際の文机ではないのですが、硯などの文具類を飾るのが正式と聞いたことがあります。
書院障子が入るのが楽しみです。
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縁側廻りの左官も仕上がり、良い感じになりました。途中の小壁もそのまま残しています。
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左官屋さんのコテ。
入隅に出隅、丸太のチリ際など、塗る場所によってさまざまなコテを使われています。
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この部分は杉板腰付きの障子が入ります。丈間に4枚。中央の2枚が開き、庭が見えることになります。
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玄関回りも左官屋さんの仕事が始まっています。
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玄関横の工事も始まりまっています。補強の梁を入れ新たな柱も立て柔な壁も設置します。
昔の竃から出た煤で全体に黒壁になっています。野趣あふれる民家らしい空間です。
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by frontdesign | 2018-02-01 19:32 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

襖の引手と紙

天理の家
改修前の襖で使われていた趣のある古い引手。補修が終わり手元に届きました。
この引手は、高岡の職人さんの手で再生していただきました。富山の高岡は高岡銅器として有名ですが、金属品全般の加工生産をされているそうで、仏像や仏具のシェアは9割以上とのことです。
引手は3種類、全部で16個ほど直していただきました。一つずつ丁寧に紙に包まれた引手を開けながら、とても大切に扱って頂いていたことを感じ有難く思いました。
綺麗に再生していただきました。
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改修中の主屋は明治中期の建物ですので、おそらくその当時に作られた引手だと思います。
補修前は経年の味わいはあるものの、剥がれや錆び、ヤブレなどの痛みもありました。新品の襖を作るのに引手も新品にすることもできましたが、元々の引手が大変趣のある引手でしたので補修再生することになりました。
補修前はこのような感じでした。
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今回は襖の唐紙の紋様と引手との組み合わせがあり、組み合わせの番号だけでは分かり難いので、建具屋さんとの打ち合わせ用に写真の資料を作りました。
綺麗になった引手の写真を唐紙の上で併せてみると、完成後のイメージがよくわかるようになりました。
華やかで良い感じです。
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家全体で考えると「襖の引手」などは本当に小さな部分ですが、このような部分にも技術と表情があり、日本建築の趣のひとつです。






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by frontdesign | 2018-01-30 17:30 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 建具いろいろ

改修工事も大詰めです。
先日、現場で建具屋さんとの打ち合わせがありました。欄間、欄間障子、出書院の障子は既存の建具を入れ直します。

繊細な指物の欄間。
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彫刻欄間は、荒波に踊る鯉の紋様です。流れるような波の細工が美しく、鯉は立身出世の象徴でおめでたい紋様です。
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欄間障子と出書院の障子は和紙を張って頂きます。建具屋さんのお持ち帰り。
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こちらは門屋の格子戸。作り直しをします。
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和室周りの襖八枚は枠の痛みや歪みもありましたので新調することになりました。
枠の塗り色は、一番右手の黒の溜め色にすることになりました。黒よりも若干赤味がかっており、柔らかな表情です。
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引手は今まで使われていたものを再利用します。痛みが見られるものは修復し、全て塗り直しをして頂きます。
左は透かし入りの鍔に底は波に紅葉文様、真ん中は花形の鍔に底は花紋、右は卵型に木瓜です。左と真ん中は細工が細かく地金は柔らかいすずのようで、右のものはどっしりと重みのある銅製品です。

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新調する襖には京唐紙を張ることになり、お施主様に選んで頂きました。
鳳凰蝶唐草紋様。地になる紙は鳥の子参号紙。
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正倉院紋様。こちらも鳥の子参号紙にします。
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鳳凰丸紋様は浅葱色の紙に。素敵ですね。
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どれも、光が当たると紋様が浮き出てきます。

これらは京都の丸二さんの唐紙です。見本帳は、丸二さんから毎回お借りしています。
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by frontdesign | 2018-01-25 12:47 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況32

一階の居間座敷まわりは大工工事が終わり、今日は塗装屋さんが入っています。家具も設置されました。
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二階の大工工事もあと少しです。床の幅木や階段の手すりの設置に取り掛かられています。壁の仕上げはこれからですが、床の養生が取れるのが楽しみです。
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奥の収納部屋への入口は、構造体の丸太の筋交いを潜って入ります。
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北の窓からは、作業場でもある北の庭が見えます。暮らしが見えて良い眺めです。虫籠窓のある建物も立派ですね。
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階段の壁は真壁に納めて梁を化粧て現しました。二重に梁が掛けてあり、その間に隙間があります。当初は塞ぐ予定でしたが、塞がずそのままにすることにしました。玄関ホールが見えます。スリット状に光が入り、良さそうな隙間になりました。
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こちらは階段上の明り窓。隣室の光を天井に反射させて取り込みます。
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玄関ホールの床下地が出来ました。部屋への上がりが楽になりました。
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玄関は引き違いの格子戸を入れます。元の差鴨居の溝は引き違い戸には合わなかった為、鴨居と縦枠を新たに入れることになりました。水平垂直も調整して整えて頂きます。 
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大工さんの技術に支えられています。




by frontdesign | 2018-01-17 16:56 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況31

居間と座敷周りの大工仕事が終わり、洗い屋さんが入っています。左官仕上げの前に木部を洗って頂いています。
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そして工事は玄関周りに移ってきました。足元が痛んでいた柱は根継ぎをして下さり、鎧張りの腰壁との取り合いもうまく納めて頂きました。
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玄関内は、開口部だったところに柱を立てて壁を作って頂いています。この部分の下地は荒壁パネルにしています。
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壁が出来てきましたので、框の納まりやレベルのこと等について大工さんと打ち合わせをしました。
改修工事ですので寸法は現場に合わせていくのですが、空間が繋がっていくところでは他との整合性を考えながら決まりをつけていきます。レーザーでレベルを見ながらの打ち合わせになりましたが、離れた位置まで同時にレベルの墨が付けられるので本当に便利ですね。
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by frontdesign | 2018-01-10 18:30 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況30

年末年始のお休み前。
座敷と居間周りは形ができあがり左官下地も塗り終わりました。壁が整うと、一気に部屋らしくなってきました。

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建具が無いとガランとしていますが、壁の仕上げ後に座敷周りに襖が8枚と障子が4枚入ります。
襖に張る京唐紙の地色と紋様、枠の塗色は、年末の打ち合わせでお施主様に選んでいただきました。華やかで品の良い柄をお選びいただき、完成がとても楽しみです。

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大工さんは造作家具の製作中。正面の大壁のところにテレビボードを設えていただいています。
四間取りや六間取りのような和室の並ぶ民家は、内部が柱と梁で構成されているため壁が少なく、コンセントの設置やエアコンの設置には工夫が必要です。この部屋では新設した大壁部分に電気の配線を集中させています。

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冬場は南の縁側からたっぷり陽が入ります。
居間部分は縁側を部屋に取り込み、座敷部分は縁側として座敷との間に腰付きの障子を入れます。
開口部が大きいのは日本の住まいの特徴といえますが、とても開放的ですのでどこに居ても庭の緑を楽しめる空間になると思います。

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二階へ上がる階段も完成しました。

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二階へ上がってから、高い床の方へ上がるための小階段があります。こちらも完成し、現場をうろうろするのが楽になりました。
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奥の部屋は南北に長い部屋で、そのまた奥に収納部屋があります。

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収納部屋の北側にも収納部屋。ここはまた、一段下がります。入口に丸太の筋交が入っているので背を屈めないと入れませんが、迷路のようで楽しい間取りになりました。
元々この場所は階下の部屋から階段で上がる物置部屋でしたが、仕上げを施し部屋のようになりました。改修後も、階下の部屋からは収納梯子で上がることが出来るようにしています。

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ここはつし二階の中でも低い天井の部屋ですが、これだけ低くても居心地の良い部屋になりそうです。

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玄関回りは、主屋の工事の最後になりました。
尺四寸角の欅のハナカミ柱(大黒柱)は、この建物の特徴ともいえる大切な柱です。
年明けからこちらの工事が本格的に始まります。

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お休みに入ったばかりですが、来年の工事がとても楽しみです。

来年も宜しくお願い致します。





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by frontdesign | 2017-12-30 22:25 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 青漆喰と矢羽根天井

改修中の天理の家では座敷の間の壁の塗り替えをするため、左官屋さんが現状の仕上げをかき落としています。

床の間の壁の仕上げを落とすと、ひとつ前の仕上げの青漆喰が出てきました。
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青漆喰は金沢の成巽閣に見る群青の壁が有名ですが、明治期以降には一般の民家でももてなしの場に使われるようになったそうです。
こちらは明治17年に建てられた建物ですが、この群青の壁が建築当時の壁のように思います。
大変鮮やかな青で、華やかさに満ちた床の間であったことが想像出来ます。

床の間の天井は、杉のへぎ板の矢羽根張り。
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竿縁の猿頰も結構な具合です。
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床の間の天井は普通の視線では見えないところですが、良い仕事をされています。
和室を拝見する時は、床の間の天井も見どころのひとつです。



by frontdesign | 2017-12-13 07:36 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

天理の家 進捗状況29


工事は着々と進んでいます。昨日は電気屋さんと大工さんとの打ち合わせがありました。
奥から順番に工事が進み、いよいよ玄関側へ移動してきました。
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玄関横の部屋は土間の半分の床を上げ、差し鴨居を現わしのままの空間にしています。
土間側の差し鴨居と室内側の差し鴨居の構成がよくわかる空間になりました。開口部には障子が入ります。

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こちらは仕上がってきた一番奥の間。
2階の床を支える梁が丸太で、野趣あふれる天井はそのまま現しにして仕上げていただきました。
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奥の間には蔵の入口があります。土壁が一部分崩れてしまい外部は大壁の仕上げになりました。
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2階も壁下地の工事が終わり壁張りが始まっています。
この部屋はつし2階の1室で、窓際の天井の高さが85㎝、一番高いところが285㎝の4畳半の間です。かがまないと奥へ行けないのですが、部屋としても十分に使えそうです。地窓の光が天井と床に反射して思ってた以上に明るくなりました。床板は杉の厚板ですが、床へ当たる陽でとても暖かくなりそうです。

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2階は中廊下の計画ですので、天窓のつく部屋の上部の壁を明り取りのための大きなFIX窓にしています。ここも天井の反射で多く光を取り込めそうです。

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明り窓の下の大きな丸太は、つし二階の大屋根を支える扠首(サス)を支える柱に対して直行方向に入る筋交で、棟木下の軸上の東西の端に向かい合う方向で入っており、構造的にとても効いているようです。
ダイナミックなつくりは、古民家の魅力のひとつです。






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by frontdesign | 2017-12-07 22:15 | 民家改修 天理の家 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいの設計 奈良県生駒市


by yuriko iwaki