カテゴリ:町家改修 奈良町 西村邸( 24 )

奈良町町家改修工事 進捗状況

主屋の大屋根の瓦葺きが始まりました。
表の通りは道幅が狭い為、中庭から瓦を上げられます。
建物もお庭も奥から順番に工事を進めて順次完成していますが、瓦工事のスペースを確保する為にこの部分の庭工事は後施工になります。

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瓦は三河の三洲瓦。
三洲は瓦の三大産地のひとつですが、近年、瓦を作っているところが激減しているそうです。
今回は創喜瓦工業のいぶし瓦です。

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北面は下地の歪みが大きかったのですが、大工さんに適度に直して頂きました。
綺麗に葺き揃いそうです。

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南面はこれからです。
主屋の大屋根は、前回の改修時に桟葺きにされていました。野地の痛みを直し下地から新しくしました。


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今回の工事の一番の難所。隣の建物との間は30センチほどの隙間です。足場を組んで頂き、重たいケラバ包みを解体し、穴の空いた壁も直して頂きました。少し越境していた屋根のケラバ部分も補正して頂きました。

狭くて長い空間。入るのが怖いです。

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見上げると、空が見えるようになりました。長年の懸案事項が解決して、良かったです。

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二階のなかのま。新たな窓の開口も形になり、照明をつけなくても明るくなりました。このくらい明るい方が気持ちが良いですね。

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窓に入れる建具は古建具です。縦使いのものを横に使います。少し加工が必要です。

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表の鹿よけに、お施主さんが看板を掲げられました。額縁は大工さんのお手製。

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通りすがりの方が立ち止まって読んでいるのを見かけました。
工事をしていると気になりますね。
西村邸は、奈良町らしい町家の風情を味わって頂けると思います。
どうぞお楽しみに。

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by frontdesign | 2019-06-11 22:28 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家改修工事 進捗状況


現場は今まさに改修工事中の真最中。混沌とした状況でこの状況を見ていると改修後の姿を想像するのが難しく思います。歪みや傾きなど、直さなければならないところを直しながら進めて頂いています。

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襖やガラス障子などの建具は全て外されており、階段の板戸が無いのを改めて見ていると、これも良い感じです。


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通り庭に面する部屋の出入り口の下は開くようになっています。なかのまのところは引き違い戸。
夏場は開けておくと、涼しい風の通り道になりそうです。

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おくのまのところは蝶番が付いてます。ここは収納なのか、靴を入れておけそうな感じです。

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現在屋根の修理と瓦の葺き替え工事が始まっています。
ケラバが越境していることもあり、剥落しかけていたケラバ包みを撤去して補正していただいています。


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小屋組みは丸太が多く使われています。再利用材も多く見られます。木は丸いまま使うのが、いろいろな意味で一番効率が良いように思います。真っ直ぐではないので大工さんの手で仕事する方法しかありません。

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2階のなかのまは小さな窓しかなかったので、新たな窓をつくることになりました。
天井の納まりの打ち合わせ。2階の水平具合はそう悪くもなく、既存のレベルでおおよそ揃えていただけることになりました。

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耐力壁を追加しますが、この部分の土壁はそれなりにしっかりしていたので、仕口ダンパーで対応することにしました。
土壁は表裏塗られているところとそうでないところで、状況がずいぶん違います。

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南の部屋は桁落しになっており、桁に天井の竿が差し込んであります。竿の長さが短くて抜けそうなところもあったので、このあたりも少し改修していただくことになりました。
桁を加工して竿を入れているのは初めて見ました。竿の上は溝が切ってあり、天井板が差し込めるようになっています。

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辰巳蔵の工事も進んでいます。構造に痛みの有る箇所は入れ替えを行います。

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古い梁には暦が張られています。柱にも張られているところがありました。左官下地という訳でもなく、なぜこのように紙を張っていたのかはわかりません。


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傷んでいた梁の入れ替えが進んでいます。


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by frontdesign | 2019-06-08 13:28 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家改修工事 主屋の屋根工事

今日は雨が上がりました。午後からは、ヘルメットをかぶり現場へ。
屋根の打ち合わせをするために足場に登ってきました。

高いところに上がると、奈良町の瓦の屋根々々を見渡すことが出来て爽快です。
遠くには、興福寺の五重塔や中金堂の屋根、県庁の塔屋も見えました。

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上から庭を眺めていると、鳥になった気分になります。

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屋根は瓦が取り外されました。
傷みのあるところや歪んでいるところなど、木部の下地は大工さんに直していただきます。ケラバも新設することに。
妻側の壁が波打っているので、中がどうなっているか金属板を少しめくって下さいました。隙間から覗いてみたのですが内部の状況はまだよくわからずで、また次の工程で外していただくことに。

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南面は比較的歪みも少なくひと安心です。

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今回工事の最大難所の工事は、隣地との間の工事です。
お隣はこちらの建物より新しく建てられているので、建築時にはこの隙間で工事をされたと思います。
今回はこちら側の工事。左官で大きく仕上げられている老朽化したケラバ包みを撤去して、越境している部分を縮めます。
工事の無事を祈るばかりです。


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瓦葺きの打ち合わせは次回に。
今日は現況の足元に不安もあり屋根上まで上りませんでしたが、野地が修理されてから登ります。









by frontdesign | 2019-05-29 20:53 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(1)

奈良町町家改修工事 進捗状況

主屋に足場が組まれ、屋根の工事が始まりました。
工事は昨年秋から続いているのですが、表側に足場が立つと急に工事現場らしくなってきました。
通りから様子を見ていると、通りすがりの人に声をかけられます。瓦の葺き替えですか?とか、何になるのですか?とか、解体しはるんですか?などご質問も様々。みなさんチラッと中を覗いて行かれます。

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瓦を下ろすのに、道路側はスペースが無いので中庭側に下ろして、辰巳蔵内に停めているダンプまで一輪車で運ばれます。

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外は屋根工事、中は大工工事が進んでいます。

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北側の縁側にはアルミサッシが入っていたのですが、木製建具に戻すことになりました。
土台を直して床を水平に張り直し、敷居を入れて頂きました。これから古建具の寸法に合わせて鴨居を入れて頂きます。

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新しい鴨居。真ん中に釣り束を入れるのに、寄せ蟻という仕口を作っておられます。

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釣り束をはめたところ。

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相手側の桁には、元々釣り束が入っていた寄せ蟻の仕事がしてあり、これを利用して束を入れられます。

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蟻ほぞを差し込んで、コンコンと叩いてずらすと
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こんな感じで取り付きます。下に釣られる鴨居も同じ仕事ですが、頭も根ほぞ両方とも寄せ蟻の場合は精度が要求されるようです。
大工さんは、さささっと簡単に作ってサクサク仕事をされています。壁が出来ると見えなくなる部分ですが、昔から続く伝統的な工法です。

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こちらは通り庭に面するなかのまの、くい違いになっているところの鴨居。
ガラス障子が入っているところですが、鴨居は元々無目で溝は無く、つけひばたで溝を作っています。
当初は建具がなく、のちに建具が入れられたのかもしれません。

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通り庭の先に渡り廊下があり、離れ棟や納屋につながります。
その隣に茶室棟があります。主屋からの入り口は無く、南の前庭と北の中庭から入るようになっています。

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下地窓の墨跡窓や円窓があります。腰板付きの障子は改修後も障子のままにします。
現代の暮らしでは窓にガラスが入っているのが当たり前ですが、この部屋で過ごすと紙一枚の仕切りの世界を体感出来そうです。
窓の外には緑。風の音が聴こえそうですね。

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by frontdesign | 2019-05-24 08:05 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家改修工事 進捗状況


前庭の覆い屋根を撤去して、辰巳蔵の壁がよく見えるようになりました。

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正面の茶室も全体が良く見えるように。
茶室は土壁を修理し、後補で無くなっていた袖壁を復元します。

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前庭から主屋へ通じる開口部は2枚の引き込み格子戸と櫛型欄間が入っています。
下地の傷みの補修方法を検討しながら進めていただいています。

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櫛型欄間。縦格子は細い名栗です。

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前庭はちょうど主屋のなかのまの東側に位置しており、通り庭を介してなかのまに光が入ってきます。

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2枚の引き込み戸を開けると、通り庭の土間とお庭が一体的になりとても開放的です。
町家って本当に面白い。

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辰巳蔵の工事にも着手していただいています。改修後は喫茶室になります。
2階の床が撤去されました。2階はつし2階で天井も低く、吹き抜けにしても間延びしないスケール感です。天井は断熱材を入れてボード下地を張っていただきました。母屋も綺麗に見えるように納めていただきました。若手大工Nさんの仕事です。

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建築当初より古材が使われており、柱には貫跡があります。古材は、柱だけではなく大きな梁にも使われています。鴨居溝が入っているのでおそらく差鴨居の再利用材だと思います。古い建物を解体すると、部分的に古材が使われている場合が多いです。




道路側は大きな化粧梁が入っており、元々外部だったところは化粧野地で黒く塗られています。
何度かの改修の後、現在のシャッター付き駐車場スペースになったようです。

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現場では、経験豊富な大工さんから若手の大工さんへと技術を伝えておられます。
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by frontdesign | 2019-05-21 21:23 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家改修計画 納屋と中庭

奈良町町家改修工事。
ウナギの寝床状の敷地の奥から順番に工事を進めています。離れ棟と納屋棟が完成し、現在、工事は主屋棟と辰巳蔵へ移っています。
お庭の工事も奥から順番に始まり、中庭がほぼ完成しました。庭が出来上がると一気に雰囲気が変わりました。
中庭から見る納屋棟、渡り廊下、奥の二階建ての建物は離れ棟です。


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納屋棟は土間空間です。元は物置として使われていましたが、傷んでいた部材を取り替えて構造を補強し、内部の仕上げを整え、部屋としても使うことが出来るように改修しました。
家具が運びこまれてとても落ち着いた雰囲気になりました。


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南と北の建具はガラス框戸を入れ、北側は建具の上を大きなガラス欄間にしました。
元はどちらも板戸でしたので扉を閉じると暗かったのですが、内部がとても明るくなりました。

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天井は垂木間に葦材をたっぷり入れていただきました。
この葦はお施主さんがご準備されたもので、他所で使われていたものを譲り受けられたそうです。
今回の改修工事は、再利用材を多く使っています。


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中庭正面。塀は杉皮張り。焼杉と茶室の土壁とも相性良く、全体に引き締まりました。
お庭の樹々は元々この敷地内にあった樹木で、場所を変えるなどして整えていただきました。石も、ほとんどのもは敷地内で使われていた石です。中にはどこかの石垣に使われていたような石もあります。その時点で再利用材ですね。石を掘った跡が残っていたり、長く風雨にさらされる中で表面が荒くなっているものあり、深い味わいがあります。
お庭の施工は土屋作庭所さんです。

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中庭の南側は茶室棟。茶室棟もこれから整備します。

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渡り廊下の西側は、井戸のある庭です。
こちらは建築工事の工程の関係で仕上げは先になりますが、納屋前の中庭に比べると暮らしに近い庭です。
信楽のたぬきの焼き物も、年期が入っていますね。

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主屋は解体が進んでいます。建具を取ると広々とします。

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間取りは通り土間+一列3室型で、6畳のミセノマ、4.5畳のナカノマ、6畳の座敷、縁側の並びです。
ミセノマとナカノマの天井は化粧梁の大和天井で、天井板は2階の床の畳下地板。下から見ていても地松の幅広な材だなぁと思っていたのですが、、、

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2階の畳を上げると立派な地松の一枚板でした。
これだけの幅の板を取ろうと思うと、かなりの樹齢の大木だったことでしょう。少し割れも入っていいますが問題ありません。

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辰巳蔵は傷んでいる箇所が多く、足元が腐っている柱は根継ぎをしていただきます。
完成後は辰巳蔵の表を全面格子に復元しますので、建物への進入口が通り庭の出入り口のみになります。辰巳蔵への出入り口は通り庭側に設けるのですが、通り庭はかなりの勾配があり勾配なりに土台が敷かれており、レベル出しと取り合い部分の納め方が悩ましい部分です。今日は大工さんたちと打ち合わせをして、辰巳蔵のレベルと納め方を決めました。一つずつ検討しながら現場が進んでいきます。


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by frontdesign | 2019-05-02 23:14 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家改修計画 主屋工事着工

奈良町西村邸改修工事。
いよいよ主屋の工事が始まりました。
主屋は、改修後には民泊として使われます。
通り庭に面する建具がはずされたところ。
右側の養生している柱は、桧の八寸角の通し柱の大黒柱です。

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主屋は一列三室型の間取りです。東側に通り土間が通り抜けています。

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二階も一列三室型。

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二階も通し柱が見えています。
大工さんが木肌を触りながら、「これはいい仕事をされている」とおっしゃっていました。100年前の仕事に後世の大工さんが見惚れる。恥ずかしい仕事はしたくないというお気持ちも察するところです。100年後にも、改修に入られた大工さんが同じように思われることでしょう。

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北側の窓からは、先に改修した離れ棟と納屋棟、渡り廊下の屋根が見えます。
その奥にお寺の屋根とわずかに若草山も。

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二階の三室は天井板を取って小屋組みも改修します。

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小屋組は丸太で、主要な箇所には比較的大きな材が入っています。

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事前の調査時に、落ち桁側に桔木のようなものが何本か細かく入っているのを確認していたのですが、よく見えるようになり理由が分かりました。

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二階の屋根は軒が深く、途中、出桁で垂木を受けていますが、この出桁を支える腕木の位置に桔木が入っていました。腕木にかかる荷重の負担を減らす為に上からボルトで引かれているようです。
桔木は、軒先に掛かる荷重を内側で屋根の荷重で押さえるための部材です。テコの原理です。

「これならしっかりするわ」 と、大工さん。
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腕木。
昔は弁柄が塗ってあったようです。

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向かいの家も古い町家の借家。この建物とこちら側の建物で、対になって景観を作っています。


通り庭から前庭に面する開口部。
アルミの引き違い戸は撤去して、元々使われていた木製建具に戻します。
庭奥に見えるのは茶室入口の土庇です。
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北の縁側の障子欄間。
職人さんの手の仕事が所々に見られます。

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お庭の工事も再開しています。

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中庭と奥庭は今月末にはひと段落する予定です。
最終完成は夏頃になると思いますが、少しずつ整ってきて進捗が楽しみです。

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by frontdesign | 2019-04-17 20:13 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家再生計画 納屋工事4

奈良町町家再生計画 納屋の工事。
建具が入りました。
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元々使われていた板戸の内側にガラス戸をつけました。ガラス戸の状態。

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ガラス戸に変えて、内部が明るくなりました。
壁の足元が下地から傷んでいたのですが、土壁が落ちないように壁止めをして腰部分はモルタル塗りで仕上げました。
土間もめくり、水平に均して新たに仕上げていただきました。

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天井には再利用材の葦を大工さんに入れていただきました。

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北側の開口部もガラスの引き戸を入れ、開口の上部もガラス窓にしました。

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北の奥庭から見た納屋棟。
奥庭も結構な広さがあるので、将来的に活用できそうな場所です。

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元々ここの開口部に入っていたブリキ張りの雨戸は、ブリキ板を取って網を張っていただき網戸にリメイクしていただきました。
雨戸の戸締り錠「上げ猿」はそのままに。懐かしいです。

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by frontdesign | 2019-04-09 16:53 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家再生計画 納屋工事3

納屋の工事は残すところあと少しになりました。
奥庭側の開口からはお寺の屋根が正面に見え、良い眺めです。

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先日、塗装屋さんと打ち合わせをしました。
構造補強のために新たに設置した柱壁も塗装していただきます。

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外部の窓枠も木部保護塗料を塗ります。
外壁は焼杉板張り。焼杉は表面を焼いているため炭化しており、その層が保護層になっています。

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夕方には塗り終わりました。

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改修前の納屋北面。
傷んでいた部分を直し、外側も新たに整えて綺麗になりました。

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中庭側。破風板も塗って頂きました。
スラッと伸びた背の高い槙の木と焼杉板張りの建物が、よく似合っているように思いました。

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木造の特に古い建物は、定期的に手を入れて傷みを直すことにより長持ちさせることが出来ます。
今回の改修で、今後何十年ものあいだ建物が健全に保たれるようにしたいと思います。



現場にはお施主さんが準備された葦が運び込まれました。再利用の葦とのことですが、良材です。
お施主さん、施工者さんと打ち合わせをして、利用場所と施工方法も決まりました。どのような感じになるか楽しみです。

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by frontdesign | 2019-04-02 08:15 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町町家再生計画 納屋工事2

納屋の工事が進んでおり、工事半ばです。
外壁の焼杉板張りの施工も終わりました。納屋の外壁の仕上げは、土壁+板張りなども検討しましたが、屋根のケラバの出があまり長くないので風雨にさらされるため、土壁では若干不安が残り、全面板張りがメンテナンスもし易いため焼杉板張りの仕上げにしました。

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施工前。
右半分は鉄板が張られていて、左半分は土壁の上にモルタル塗り、仕上げは全体に浮いていました。

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鉄板を取ったところ。浮いているところや土壁の欠損部分は補修し、土壁がこれ以上落ちないように壁止まりを設置して、外壁を仕上げていただきました。

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これで、また数十年は建物を傷めずに長持ちさせることが出来ます。
焼杉板は張った時から徐々に経年変化があり、年月とともに素朴な風合いになります。当初は黒くて少しクールなイメージですが、納屋でも大丈夫。納屋らしくなります。
庭の土の部分が建物より上がっており壁に土がかかっていたのも下げていただき、建物として健全な状態になりました。足元の石の部分は焼杉板を石の形状に光らしていただいています。(光るとは、石や木など相手の形に合わせて木を削ることです。)

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柱の下部の傷んだ部分は簡単に根継をしていただきました。こちらも石に合わせて光っていただいています。
古い建物の改修は、このような仕事のできる職人さん無しでは修理することが出来ません。これはとても大事なことで、若い大工さんにもこのような仕事が出来るように育ってもらわないと、古い建物に住み継ぐ選択が困難なことになってしまいます。

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今日は奈良町にぎわい課へ、歴史的風致形成建造物のことで打ち合わせに行ってきました。
早く着いたので奈良町の表通り裏通りを散策。それぞれの通りで町の趣も異なり、他の通りを見てここ花園町を見るのもここを理解する助けになります。
西村邸前の通り。周辺は現代の建物に建て替えられているところが多いのですが、道幅が狭く向かいの借家町家と対になっており、ここから見ると良い景色です。


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この通りはつし二階の建物が多いです。

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こちらもつし二階。
道幅も、通りによって広いところと狭いところなどいろいろです。車の通れない曲がりくねった路地もあります。


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古い町並みを整備するときに「時代劇のセットのようにならないように」というのが、考え方の一つとしてあります。
どうも、周囲と合わせすぎると生活感のないセットのような町並みになってしまうように思います。全国各地の整備された伝統的な町で、このような事象に陥っているところも少なくなく、そのことを痛烈な批判をされている方もおられ、各建物を設計する設計者のマナーの問題ともいわれています。設計者としてはなかなか難しいテーマですが、単体を設計する場合でも建築物だけに注視せずに古いまち全体の営みを知らなければなぁと思います。建物も通りも人間と同じで、それぞれにそれぞれの特徴があるのが面白く、古びてくると味わいも深まります。雑多に連続することで人間らしさというか、生活らしさが出てくるようにも思います。


ある建物の前に消火用のバケツが置かれていました。
奈良町は都市部の密集地で都市計画上の防火・準防火地域ですので、建築確認を要する新築や増築や用途変更をする際には、ある基準の上で防火の措置を講じないといけません。確認が必要な行為が行われる際に現行法に合った建物に更新していくことで、密集地における防火・延焼をふせぐことが可能になるのですが、一方では歴史的風致形成も重んじられており、都市計画法がつくられるずっと以前より町並みを形成していた古い建物を残していこうという取り組みも進んでいます。奈良市では奈良町独自の条例の作成も始まるそうです。
都市計画の防火の措置としては相反する方向性で法整備。新しい建物と古い建物の混在する町は、延焼の恐れも残しながら町を形成することになりますので、現実問題としては自治会など町ぐるみの防火活動が一番具体的な防災になるように思います。建物の前にこのような消化用バケツが置かれているだけで、防災意識が高まるように思います。

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by frontdesign | 2019-02-25 16:00 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市


by yuriko iwaki
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