カテゴリ:町家改修 奈良町 西村邸( 8 )

奈良町西村邸 町家再生計画5

工事は着々と進んでいます。

一階の天井板が張り終わりました。竿縁の竿は既存の竿をそのまま使い、天井板を新調しました。総赤ではないですが、赤身の色が綺麗な吉野の杉板です。年月とともに白太も色が濃くなります。天井が出来ると嬉しくなります。
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今日は大工さんと打ち合わせをしました。
補正しながらの納まりについて、意匠や構造、設備のルートも含めて検討。あちらもこちらも最終の納まりが決まりました。大工さん、有難うございます。

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1階は畳の間から板の間に改修しますが、床の間と床脇はそのまま残します。床の間の框は撤去し、床柱との取り合い部分は赤松の○に沿わせて埋木を加工してくださいました。目立たないように着色します。


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既存トイレがきれいに解体されて、地盤を整備していただきました。現況の寸法に合わせながら新たに水廻りを作っていきます。

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by frontdesign | 2018-10-10 18:03 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町西村邸 町家再生計画4


つい先日まで暑い日が続いていましたが、急に秋らしい気候になってきました。

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先日、お庭屋さんと排水経路の打ち合わせをしました。中庭から見上げると離れ棟の二階がよく見えます。

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離れ棟の妻側の外壁の焼杉板が張り終わりました。

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焼きっぱなしの仕上げですので、触ると手に炭が付きます。1階まわりの手に触れるところは表面の炭を落としているものを使用しています。

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二階の縁側開口部の下地が出来てきました。元はアルミサッシの掃き出し窓でしたが、木製建具の腰窓にする事になりました。
床の傾きも直して頂き、気持ちよくなりました。
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こちらは茶室棟の軒下。風情ある空間を生かせるようにしたいと思います。

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敷地内には五つの棟と四つの庭があり、それぞれの建物からそれぞれの庭を楽しむことができます。

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道沿いには建物が立ち並び、中の様子はわかりませんが、敷地の奥にはまさに庭屋一如の空間が存在しており、そのギャップも町家の魅力のように思います。






by frontdesign | 2018-10-01 07:55 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町西村邸 町家再生計画 3

離れの工事が進んでいます。

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大正四年に建てられた離れ棟。解体してみると柱の沈みや木部の痛みがあり、まずは躯体をしっかりさせることになりました。柱を上げ梁を補強して頂き、全体的に歪みが直ってきました。

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日に日にきちんとしてくる様子を見ていると、嬉しく思います。

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傷みのある柱は二本入れ替え、荷重の負担が大きいところには新たに二本の柱を入れます。補助的に制振金物の仕口ダンパーを部分的に入れることにしました。

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母屋や棟木の継手位置も補強して頂いています。

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柱を上げる際に、土壁も一部落として頂いています。床脇の違い棚は欅の一枚板。柱にはどこも左官仕上げのためのちりじゃくりの溝が施してあります。
壁の下にはちんくぐりがあり、壁止まりの横木は広葉樹の変木で丸い跡がついています。このあたりは、再び元に戻して頂きます。

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離れの階段はコンパクトな廻り階段です。なかなか小さな階段ですが、通い慣れると意外と上り易く、不思議と二階が近く感じます。楽しい階段です。

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一旦取り外した建具類は納屋で保管してあります。傷みのあるものは補修し、元の位置で使います。
建物の歪みが直り、建具類もスムーズに動くようになると思います。

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by frontdesign | 2018-09-12 07:10 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

木と土

奈良市観光経済部奈良町にぎわい課へ修理事業の申請書類を提出しに行きました。この課は市役所の庁舎内ではなく、奈良町の中に所在しています。現場のすぐ近くでもあり、地域の中に有るのは良いことだと思います。


この写真は現場の向かい側の建物です。改修後、こちら側の喫茶室の窓から格子越しに見える景色になります。この界隈は新しい建物に建て替わっているところも多いのですが、お向かいは残っています。
道幅が狭いので、そこそこの距離感です。道の狭さは車社会では便利とは言えませんが、ヒューマンスケールがこの町の魅力のように思います。朝早く現場に行くと、キャリーバッグを引いた外国人の観光客が通りを歩いているのを見かけます。そのような風景が窓越しに見えるようになるのを想像すると面白く思います。

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これはこちら側の納屋の土壁です。近づいて見ていると、ススが付いたこの壁も味わいがあって良いなあと思いました。

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向かいの建物のように少し離れて見える景色も、すぐ近くにある壁や床も、どちらも木や土で出来ており、それもこの場の魅力であるように思います。








by frontdesign | 2018-08-29 11:12 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町西村邸 町家再生計画2

離れ棟の工事が進んでいます。
総二階建て建物の東側の通りが3センチほど下がっており、柱3本をジャッキアップして補正することになりました。
既存の柱に内外両面からジャッキの支持部材を設置。

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建物の西側は隣の建物が隣接しているので、東側の柱を全体的に上げる時に、万が一、建物が西側に傾かないように引っ張りのロープを張られました。

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柱を上げるの最大3センチ程度ですが、建物にとっては負担も大きいので、足元と小屋組み、柱桁各仕口など、ウィークポイントになるところは全体に補強してから上げられました。
緊張感の高い作業です。

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無事に柱が上がりました。見た目にもだいぶ真っ直ぐになり、二階の床の下がりもかなり解消しました。
構造の補強方法も決まりましたので、しばらくは構造補強の工事が続きます。

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北の縁側の東の角に蟻害がみられました。柱の入れ替えの他、蟻害のある部材全て新調して頂きます。

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解体してみないと分からない事も多いのですが、これから先に同じ不具合が生じないように直したいと思います。





by frontdesign | 2018-08-28 07:41 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町 花園町

奈良町の改修現場は、細長い敷地の中に主屋・辰巳蔵・茶室棟・離れ・納屋の5つの建物と、主屋と離れをつなぐ渡り廊下、そして間々に4つのお庭があります。一番奥の離れの2階の窓からは、それぞれの建物の瓦屋根が見えます。連なる瓦屋根はとても美しく、また、複数の建物が敷地の中でつながりを持ちながら建っている様子に、想像力が掻き立てられます。窓から屋根屋根を見ていると、子どもの頃に建築に興味を持ったきっかけがそのようなことだったのを思い出します。

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離れ棟の解体が進み構造体が見えるようになりました。昨日は補修の方法について大工さん達と現場で打ち合わせをしました。大きな補修から細部の補修まで、この建物をいかに健全に長持ちさせるかと言う視点で様々な意見が出て、こちらも勉強になりました。

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二階の小屋裏から棟札が出てきました。
大正4年4月8日の日付が入っています。主屋も大正4年の築造であることが確認できており、離れも同時期に建てられたことが分かりました、大正4年と言えば103年前になりますが、大きな改修もなく建築当初に近い形で使われていたようです。

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ここは奈良町の花園町と言うところで、町のことが書かれた札が通りの古い町家に掛かっています。平城京に都が遷都した時に飛鳥から移築さらた元興寺にお供えをする花を育てた花園があったことから、花園町という名前になったそうです。
その後は鎌倉期より民家が立ち並んでいたそうで、江戸期には能役者や春日若宮おん祭に参勤する大名の宿所を提供する宿場町になっていたそうです。(ウィキペディアより) 
鎌倉期と言うと800年程前。その頃から人が住み継いできた町で、宿場町としても栄えていたことを想像すると感慨深いです。


建物が残り続ける理由のひとつに、その建物がひとに愛される建物であるということがあります。
棟札を見ると、ご当主や棟梁が建物に込めた思いを感じます。ここに住まうご家族が幸せに、そして100年200年と愛される建物であって欲しいと願われていた事と思います。
建物の歴史に気持ちを寄せて、これからも長くお住まい頂けるように丁寧な改修をしたいと思います。

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花園町と言うと、花園温泉と言う銭湯があります。一度この暖簾をくぐってみたいです。
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by frontdesign | 2018-08-24 08:00 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町西村邸 町家再生計画1

いよいよ工事がスタートしました。

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敷地は奥行きが30mほどある細長い形状で、表の主屋と辰巳蔵の奥には、いくつかの庭と茶室棟、離れ棟、納屋の建物があります。
まずは一番奥の離れ棟から工事を始めます。

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離れ棟は、一階二階とも床の間・床脇付きの和室がひと間ずつある小ぶりの建物です。

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大正四年に建てられた建物ですので、築百年以上になります。少し改装されていますが、ほぼ建築当時のまま使われていたようです。

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縁側の欄間には、波間に千鳥の透かしが入っています。風流ですね。
波千鳥紋様は、家内安全など縁起ものの紋様だそうです。

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構造の補強をするために、まずは部分的に解体します。

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二階の床の大きな下りを直すために、一階二階とも天井板を外します。
天井板は柾目の杉で、取り外したのちの復旧も考えていたのですが、板が脆く釘が錆びており、取り外す際に板が割れてしまいました。竿縁はそのままで天井板のみ新調することになりました。

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もう少し解体が進んでから構造の補強方法を決めていきます。





二階からは若草山がよく見えます。
隣は中将姫誕生の謂れのある誕生寺さんです。奈良町にはたくさんのお寺が点在しており、お寺の屋根の見える風景も奈良町らしさのように思います。

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by frontdesign | 2018-08-21 20:41 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

”奈良町 西村邸” 町家再生計画

昨年の秋より改修計画を進めておりました奈良町西村邸。
間口四間半で奥行きの深い敷地に主屋、辰巳蔵、茶室棟、離れ棟、納屋棟の5つの建物と4つの庭があり、敷地全体として改修を行う計画です。
主屋は大正4年の築造、間口2間半の本2階建てで、1階はトオリニワの土間が通り、ミセ、ダイドコ、オクと1列に並び、2階はオモテ、ナカノマ、オクと並ぶ1列3室型の典型的な町家形態で、大きな改修はされておらず原型に近い状態です。主屋東側には辰巳蔵の形を残すつし二階の建物が隣接しています。
瓦は比較的近年に葺き替えをされていて、住まわれながら手入れをされていらっしゃるご様子が伺えます。

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主屋は名栗格子に囲まれています。この装置は鹿よけのためのもののようで、奈良公園に近い奈良町の町家で時々見られるものです。こちらは傷みもありますので、同様の形で再生することになりました。
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辰巳蔵は、現在は電動シャッターのついた駐車スペースになっています。壁天井の仕上げを解体をしてみると、過去に何度か改修がされた痕跡が見られました。シャッターを撤去して伝統的意匠に戻す方向で改修計画をしておりますが、改修の痕跡を見る中で建築当初の形体を確認することが出来なかったため、全面に格子の入っていたと推測できる時期の意匠に倣ってまとめることになりました。
今回の計画地は奈良市歴史的風致維持向上計画における重点地区内で、歴史的風致形成建造物の指定を念頭に改修を行う為、奈良市の奈良町にぎわい課と教育委員会文化財課の担当の方が調査に来られ、後日に建物についての考察結果をお示しいただきました。奈良町の歴史的建築物の特徴や、同じ奈良町内でも地域による特性があることなど、話をお聞きすることができてとても有意義でした。

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駐車場のシャッター部分は増築されており、その手前の5寸角の柱には荒格子の貫と思われる貫穴や格子の内側に入っていたと思われる建具のあと(鴨居溝)が見つかりました。材の寸法や位置を採寸。

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道路側ファサードの改修後のイメージです。現在の黒漆喰の壁はそのまま黒漆喰で塗りなおします。シャッターから荒格子にすると建物の印象も大きく変わりそうです。袖うだつの一部も再生します。
お施主様はこの地に住まわれながら、宿泊のできる奈良町の町家「西村邸」として活用されるご予定です。代々丁寧に住まわれてこられた建物を、傷みのある部分はきちんと修理して町家の良さをそのまま生かす改修をご希望頂いています。


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この敷地の大きな特徴は4つのお庭があることです。どの庭にもそれぞれ植栽と石があり、丹精されていた様子が伺えます。

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茶室の裏側にも露地があります。遊び心のある空間です。
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主屋と離れ棟の間の庭には、大きな井戸とお稲荷さんがあります。暮らしの庭。
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奥の納屋は、ざっくりとした納屋建築の面白みのある空間です。
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奥行きの長い敷地は、奥へ行けば行くほどプライベート性が高くなります。
内を通ったり再び外へ出たりと空間に変化があり、敷地全体がひとつの町のような感じがしてとても面白く思います。






”木の住まいの設計”
一級建築士事務所 FRONTdesign  岩城由里子
国産材・県産材を使って木の家づくりをしている設計事務所です。
yiwaki@kcn.ne.jp
奈良県生駒市北田原町1052-2






by frontdesign | 2018-05-29 07:10 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市


by yuriko iwaki
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