木と土

奈良市観光経済部奈良町にぎわい課へ修理事業の申請書類を提出しに行きました。この課は市役所の庁舎内ではなく、奈良町の中に所在しています。現場のすぐ近くでもあり、地域の中に有るのは良いことだと思います。


この写真は現場の向かい側の建物です。改修後、こちら側の喫茶室の窓から格子越しに見える景色になります。この界隈は新しい建物に建て替わっているところも多いのですが、お向かいは残っています。
道幅が狭いので、そこそこの距離感です。道の狭さは車社会では便利とは言えませんが、ヒューマンスケールがこの町の魅力のように思います。朝早く現場に行くと、キャリーバッグを引いた外国人の観光客が通りを歩いているのを見かけます。そのような風景が窓越しに見えるようになるのを想像すると面白く思います。

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これはこちら側の納屋の土壁です。近づいて見ていると、ススが付いたこの壁も味わいがあって良いなあと思いました。

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向かいの建物のように少し離れて見える景色も、すぐ近くにある壁や床も、どちらも木や土で出来ており、それもこの場の魅力であるように思います。








# by frontdesign | 2018-08-29 11:12 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

奈良町西村邸 町家再生計画2

離れ棟の工事が進んでいます。
総二階建て建物の東側の通りが3センチほど下がっており、柱3本をジャッキアップして補正することになりました。
既存の柱に内外両面からジャッキの支持部材を設置。

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建物の西側は隣の建物が隣接しているので、東側の柱を全体的に上げる時に、万が一、建物が西側に傾かないように引っ張りのロープを張られました。

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柱を上げるの最大3センチ程度ですが、建物にとっては負担も大きいので、足元と小屋組み、柱桁各仕口など、ウィークポイントになるところは全体に補強してから上げられました。
緊張感の高い作業です。

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無事に柱が上がりました。見た目にもだいぶ真っ直ぐになり、二階の床の下がりもかなり解消しました。
構造の補強方法も決まりましたので、しばらくは構造補強の工事が続きます。

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北の縁側の東の角に蟻害がみられました。柱の入れ替えの他、蟻害のある部材全て新調して頂きます。

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解体してみないと分からない事も多いのですが、これから先に同じ不具合が生じないように直したいと思います。





# by frontdesign | 2018-08-28 07:41 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

木工教室

夏休み最後の日曜日。
伏見建築事務所さんのところでは、木工教室を開催されました。午前の部も午後の部もたくさんの方がお越しになりました。

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いくつか見本も作ってありましたが、作りたいものの絵を描いて来られた方もいらっしゃいました。

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伏見さんのところの大工さんもスタッフとして5名参加されました。難しい木のカットやドリルでの穴開け、釘打ちのヘルプなど、大活躍していただきました。
大工さんは何でも出来てカッコいいですね、とコメントを頂きました。今回の木工教室は、お子さま達への大工スカウト活動と言う話もあります。
ほんの数十年前と比べるだけでも、大工さんの手の仕事が激減しておりますが、伏見建築事務所さんのところは手の仕事に拘った家づくりをされています。手の仕事が減る一方の世の中で、木を見て手で仕事をする大工技能は、そのうち最先端になるかもしれません。



釘打ちにチャレンジ。一生懸命トントンしてくれました。

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ノコギリ体験。上手に切れました。

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女のお子さんもみなさん楽しんで工作していました。
小さいお子さんは、カレンダーにパンケース、次は何をつくりましょう。

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こちらもパンケース製作中。杉板のパンケースは、パンが長持ちするそうです。

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ペットのわんちゃんのごはん台。引き出しが付きました。

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小さな男のお子さんは車や電車作り。

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家もつくりました。屋根を開けると小物が入る箱になっています。
家にもタイヤを付けて・・・

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電車と連結。
トレーラーハウスのようです。

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ワニの車。口が動きます。

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完成後、さっそく遊びが始まりました。
お母さんは上手に小棚を作られました。

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カレンダーの丸い札には曜日と日にちを書いて、月が変わると日にちを掛け替えます。


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トレー。
四隅のトメ加工は、工作の域を超えていますね。

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パンケース。山形パンが一斤入ります。

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チーズカッター。

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伸縮本立て。

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材料は、家づくりの時につかった木の端材です。吉野杉なので、色艶の良い上質な材です。


その他にも棚やボード、机に椅子、玄関の壁につけるキーケースなど、いろいろなものを作られました。時間内に完成出来なかったものは材料をお持ち帰り頂きました。お家で続きをして頂ければと思います。

楽しい一日でした。









# by frontdesign | 2018-08-27 07:35 | 手をうごかす | Trackback | Comments(0)

ポンちゃんの家 進捗状況6

工事は着々と進んでいます。
外壁の左官下地のけんじめが張り終わりました。この上に二重目の防水紙を張ります。

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二階の軒裏は杉板張りで、ケラバ側は母屋等を化粧で現しにしています。破風板を張って化粧の構造体が小口から痛むのを防いでいます。
一階周りの軒裏は、野地板から全て現しにしています。

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建具枠が入り始めました。玄関はドア+網戸の引戸を取り付けます。室内の採光は上部の欄間ガラスから取り入れます。

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食堂居間空間は木製建具が入リます。
一階の床は大引の上に杉の厚板を直張りするので、床が出来るのはもう少し先になります。

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洗面脱衣室と浴室の窓は同じ高さで揃え、仕切りの壁にも同じ高さのFIX窓を入れます。浴室ドアも透明で、広がりのある空間になりそうです。

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外壁防火構造のために、天井の上も断熱材を充填して石膏ボードを張ります。
昨日は蒸し暑かったのですが、北側の地窓からスーッと涼しい風が入っていました。現場が始まり開口部が出来てくると、風の流れを確認出来て面白いです。
設計を始めた頃はそのことが衝撃的で、風の流れを読むことは大事な事だと思いました。

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二階は室内建具が入るところに下地が入り始めています。丸太梁は曲がりが有りますが、その下の建具の鴨居は水平に。ここには吹き抜けに面する障子の窓が入ります。

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昨日は、お施主さんと現場打ち合わせをしました。先週の電気設備の打ち合わせに続き、外壁左官の掻き落としの色と外部木部の塗装色が決まりました。
設備機器の種類や造作のキッチンと洗面台も決定しましたので、これから造作家具の詳細図を詰めます。

工事の中盤からは、電気屋さん、給排水設備屋さん、板金屋さん、左官さん、塗装屋さん、そして終盤には建具屋さんなど、様々な職種の職人さんが入られます。検討事項がある時などは直接打ち合わせをさせて頂くのですが、それぞれの専門的な話をお聞き出来ることは何よりの糧になります。















# by frontdesign | 2018-08-26 07:51 | 新築 ポンちゃんの家 | Trackback | Comments(0)

奈良町 花園町

奈良町の改修現場は、細長い敷地の中に主屋・辰巳蔵・茶室棟・離れ・納屋の5つの建物と、主屋と離れをつなぐ渡り廊下、そして間々に4つのお庭があります。一番奥の離れの2階の窓からは、それぞれの建物の瓦屋根が見えます。連なる瓦屋根はとても美しく、また、複数の建物が敷地の中でつながりを持ちながら建っている様子に、想像力が掻き立てられます。窓から屋根屋根を見ていると、子どもの頃に建築に興味を持ったきっかけがそのようなことだったのを思い出します。

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離れ棟の解体が進み構造体が見えるようになりました。昨日は補修の方法について大工さん達と現場で打ち合わせをしました。大きな補修から細部の補修まで、この建物をいかに健全に長持ちさせるかと言う視点で様々な意見が出て、こちらも勉強になりました。

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二階の小屋裏から棟札が出てきました。
大正4年4月8日の日付が入っています。主屋も大正4年の築造であることが確認できており、離れも同時期に建てられたことが分かりました、大正4年と言えば103年前になりますが、大きな改修もなく建築当初に近い形で使われていたようです。

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ここは奈良町の花園町と言うところで、町のことが書かれた札が通りの古い町家に掛かっています。平城京に都が遷都した時に飛鳥から移築さらた元興寺にお供えをする花を育てた花園があったことから、花園町という名前になったそうです。
その後は鎌倉期より民家が立ち並んでいたそうで、江戸期には能役者や春日若宮おん祭に参勤する大名の宿所を提供する宿場町になっていたそうです。(ウィキペディアより) 
鎌倉期と言うと800年程前。その頃から人が住み継いできた町で、宿場町としても栄えていたことを想像すると感慨深いです。


建物が残り続ける理由のひとつに、その建物がひとに愛される建物であるということがあります。
棟札を見ると、ご当主や棟梁が建物に込めた思いを感じます。ここに住まうご家族が幸せに、そして100年200年と愛される建物であって欲しいと願われていた事と思います。
建物の歴史に気持ちを寄せて、これからも長くお住まい頂けるように丁寧な改修をしたいと思います。

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花園町と言うと、花園温泉と言う銭湯があります。一度この暖簾をくぐってみたいです。
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# by frontdesign | 2018-08-24 08:00 | 町家改修 奈良町 西村邸 | Trackback | Comments(0)

国産材・県産材でつくる木の住まいを設計しています。 奈良県生駒市


by yuriko iwaki
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